【10kW以上】太陽光発電設置の基礎知識の解説と売電収入をシミュレーション
「10kW以上の太陽光発電は住宅にも設置可能?」
基本的に、10kW以上の太陽光発電は産業用とされていますが、一般的な住宅でも10kW以上の太陽光発電は導入可能です。しかし、実際に導入するためには、さまざまな条件や基礎知識を学んでおく必要があります。
この記事では、10kW以上の太陽光発電を導入するための基礎知識やメリット、デメリットについて詳しく解説します。10kW以上を導入した際の売電収入もシミュレーションしているため、あわせて参考にしてください。
目次
【おさえよう】太陽光発電を10kW以上設置する際の基礎知識
10kW以上は主に産業用として活用されています。10kW以上の設備を導入する際のルールもあるため、太陽光発電の導入経験がある方でも事前に確認しておきましょう。
ここでは、10kW以上の太陽光発電を導入する際の基礎知識について、以下の4つを解説しています。
- 太陽光発電10kWの設置費用の相場は「236万円」
- 10kW以上の太陽光パネルを設置するための面積は「100〜150㎡」
- 10kW以上の太陽光発電は20年間の余剰買取制度が利用可能
- 太陽光発電10kW以上は固定資産税の対象
①太陽光発電10kWの設置費用の相場は「236万円」
経済産業省が発表している資料によると、産業用の太陽光発電「1kWあたり」の設置費用の相場が「23.6万円」とされています。単純に計算した場合、
10kW×23.6万円/kW=236万円/kW
10kWの太陽光発電を設置するためにかかる費用は「236万円」です。なお、この費用の内訳は工事費や設計費など、太陽光発電システム以外の費用も含まれています。
②10kW以上の太陽光パネルを設置するための面積は「100〜150㎡」
一般的に1kWの太陽光パネルの面積は「10〜15㎡」とされています。10kWの太陽光発電を設置するために必要な面積は、
10㎡×10kW=100㎡
15㎡×10kW=150㎡
100〜150㎡の面積が必要だとわかります。
100㎡の広さは、一般的な建売住宅の延床面積と同等の広さです。しかし、太陽光パネルは主に建物の屋根に設置するケースが多いです。実際に10kW以上の太陽光パネルを設置するためには、100〜150㎡以上の敷地の広さを用意する必要があります。
③10kW以上の太陽光発電は20年間の余剰買取制度が利用可能
余剰買取制度とは、太陽光で発電された電力を自家消費でまかなったあと、余剰電力を電力会社に買い取ってもらう制度のことです。
10kW未満の太陽光発電は、10年間固定価格で電力を買い取ってもらえますが、10KW以上の場合、20年間と期間が延長されます。なお、2019年までは10kW以上の太陽光発電で発電した電力は「全量買取制度」も選択できましたが、2020年からは余剰買取しか選択できません。
④太陽光発電10kW以上は固定資産税の対象
10kW未満を導入する場合、固定資産税の対象とされませんが、10kW以上の太陽光発電は固定資産税の対象となります。
10kW以上の容量であれば設置場所が住宅であっても同様に、固定資産税の対象です。設置場所の環境や条件がよく、固定資産税を上回る発電量、売電収入が期待できる場合は検討する余地があります。
太陽光発電10kW以上を導入する3つのメリット
容量が増えれば活用できる電力が増えるため、さまざまなケースでの活躍が期待できます。性能を最大限に活用するために、10kW以上の基礎知識を踏まえてメリットの概要を理解しておきましょう。
ここでは、太陽光発電10kW以上を導入する3つのメリットについて解説します。
- 自家消費にあてられる電力が増え、電気代の削減ができる
- 長い期間、固定価格で売電収入を得られる
- 停電時でも多くの電力を発電できて安心
①自家消費にあてられる電力が増え、電気代の削減ができる
太陽光発電の電力は、年間で「68.8%」が売電「31.2%」が自家消費に割り当てられると、経済産業省から発表されています。太陽光発電システムの容量が増えればその分、約30%にあたる自家消費の電力量も増加するでしょう。
さらなる電気代の削減や売電収入を増やしたい場合、10kW以上の太陽光発電の導入を検討してみてください。なお、10kW未満の太陽光発電を導入した場合の自家消費、売電収入の具体的なシミュレーションを過去におこなっておりますので、参考にしてください。
関連記事:太陽光発電で電気代は安くなるのか?詳しい節約効果や導入メリット、デメリットを解説!
②長い期間、固定価格で売電収入を得られる
10kW未満の太陽光発電からの電力は10年間、固定価格で買い取ってもらえますが、10kW以上の場合「20年」まで延長されます。しかし、10kW以上の太陽光発電の場合1kWあたりの固定価格は「10〜12円」と、10kW未満よりも低く設定されているため注意が必要です。
10kW未満 | 10kW以上50kW未満 | 10kW以上50kW未満(屋根設置) |
---|---|---|
16円 | 10円 | 12円 |
③停電時でも多くの電力を発電できて安心
電力会社から電力の供給が止まってしまっても、大容量の太陽光発電システムがあれば一定期間は安心して電力を活用できます。
JPEA太陽光発電協会のデータによると、1kWあたりの年間発電量が「1,000kWh」であることから、日割りすると「約2.7kWh」発電が可能です。10kWに換算すると1日で「約27kWh」の電力を利用できます。
例えば、冷蔵庫の電力消費量は250Wであるため、1日使用すると
250W×24時間=6kWh
10kW以上の太陽光発電システムがあれば、停電時でも十分な電力量を確保が可能です。
太陽光発電10kW以上を導入する2つのデメリット
主に経済面のメリットを受けられる10kW以上の太陽光発電ですが、容量が大きい分、特有のデメリットも受けます。初期費用や今後のランニングコストのデメリットまで把握し、十分なメリットを受けられるかシミュレーションを確実におこなってください。
ここでは、太陽光発電10kW以上を導入するデメリットについて、以下の2つを解説します。
- 大幅な設置面積を要する
- 固定資産税がかかる
①大幅な設置面積を要する
10kW以上の太陽光発電を設置する場合「100〜150㎡」ほどの面積が必要です。この面積は、一般的な建売住宅の延床面積の広さに該当します。屋根の形や土地の広さなど、広いスペースがなければ、10kW以上の設置は難しい可能性があります。
最大限、太陽光発電を導入したい場合は、土地を有効活用できる「ソーラーカーポート」を検討してみましょう。駐車場と太陽光発電の2つの役割を持ち、あらためてスペースを確保する必要がないためとても便利です。
ソーラーカーポートについては、過去に解説しているため参考にしてみてください。
関連記事:太陽光発電をソーラーカーポートに!メリット・デメリットや設置価格、補助金の情報を解説
②固定資産税がかかる
10kW以上の太陽光発電は、固定資産税の対象です。固定資産税は、所有する固定資産(太陽光発電)の評価額に1.4%の標準税率をかけて計算します。
太陽光発電は減価償却されるため、実際に計算する場合は複雑な計算が必要です。
太陽光発電10kWの売電収入はどれくらい?発電量からシミュレーション
ここでは、10kWの太陽光発電を導入した場合、年間で売電収入がいくらかシミュレーションをおこなっています。シミュレーションは、以下の条件をもとに計算しています。
- 1kWあたりの年間発電量が「1,000kWh」
- 年間に太陽光発電で発電される電力の割合は「68.8%」
- 10kW以上の場合、1kWhあたりの固定買取価格は「12円」(屋根設置)
年間の発電量 | 年間の売電割合 | 年間の売電収入 |
---|---|---|
10,000kWh(※1) | 6,880kWh(※2) | 82,560円(※3) |
(※1)1,000kWh×10kW=10,000kWh
(※2)10,000kWh×68.8%=6,880kWh
(※3)6,880kWh×12円/kWh=82,560円
上記の計算によれば、年間で「82,560円」の売電収入を得られます。
10kW以上であれば、固定買取価格の期間が20年適用されるため、制度の改正がなければ長く売電収入が得られるでしょう。
まとめ:10kW以上の太陽光発電の導入は慎重に検討しよう
10kW以上の太陽光発電は、家庭の経済面を支えるメリットがありますが、大幅な土地の必要性や固定資産税の費用など特有のデメリットもあわせ持ちます。
10kW以上は主に産業用であるため、住宅に導入する際は専門業者に必ず相談してください。
なお、ミライでんちでは、太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。
太陽光発電、蓄電池の導入に際しては、補助金の活用方法についても無料でアドバイスをおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。