仮想蓄電池とはどんなサービス?メリットやデメリットを詳しく解説
各電力会社がサービスとして提供を始めている仮想蓄電池について、気になっている方も少なくありません。しかし、
「仮想蓄電池とは?家庭用蓄電池と何が違う?」
「仮想蓄電池のメリットやデメリットが知りたい」
上記のような、悩みを抱えていないでしょうか?仮想蓄電池とは、太陽光発電で発電した余剰電力を電力会社に預けるサービスです。
当記事では仮想蓄電池の特徴や家庭用蓄電池との違いのほかにも、メリットやデメリットもご紹介します。仮想蓄電池の知識がない方でも、簡単に理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
仮想蓄電池とは
仮想蓄電池とは、自宅で発電した余剰電力を『電力会社に預かってもらうサービス』です。
主な特徴は以下が挙げられます。
- 発電した余剰電力は「数値」として預けられる
- 蓄電池は購入しなくてよい
- 預けた電力は引き出せない
- 月額料金がかかる
仮想蓄電池は、太陽光発電で発電した余剰電力を電力会社に預かってもらうため、蓄電池を購入する必要がありません。また、預けた電力を自由に使用できないのも特徴の一つです。各電力会社と契約を結び、月額料金を支払う必要があります。
仮想蓄電池と家庭用蓄電池の違い
仮想蓄電池と家庭用蓄電池には、初期コストや電力使用の自由度など、大きな違いがあります。詳しい内容は以下の表のとおりです。
仮想蓄電池 | 家庭用蓄電池 | |
初期コスト | 不用 | 必要 |
月額料金 | 必要 | 不要 |
預けた電力の使用 | × | 〇 |
売電収入 | × | 〇 |
補助金 | × | 〇 |
自然災害補償 | × | 〇 |
電力プランの乗り換え | × | 〇 |
家庭用蓄電池と比べて大きく異なる点は、仮想蓄電池は蓄電池の購入コストが必要ないこと、預けた電力を自由に使えないことです。通常の家庭用蓄電池の設置は、100万〜300万円ほどが初期コストの目安とされています。
仮想蓄電池は初期コストがかかりません。ただし、電力会社と契約して月額料金を支払う必要があります。また、預けた電力は数値として取り扱われ、自由に使えないのが仮想蓄電池の特徴です。
ほかにも、実体の蓄電池がないことから、補助金や災害補償などは、仮想蓄電池には該当しない点に注意しておきましょう。
仮想蓄電池の『メリット』
仮想蓄電池の利用で得られるメリットは以下の2つが挙げられます。
- 仮想蓄電池に預けた電力を電気代にあてられる
- 初期費用がかからない
仮想蓄電池は、電気代と初期コストに大きなメリットがあります。詳しい内容を見ていきましょう。
仮想蓄電池に預けた電力を電気代にあてられる
仮想蓄電池では、1ヶ月間に『預けた電力の総量』を、契約した電力会社で記録します。記録された総電力分を、電気料金から割り引いてくれます。
各企業で決められた上限の範囲の電力量分だけ、購入した電力量から料金を差し引くサービスです。あくまで、電気料金の割引となるため、売電できない点に注意しましょう。
初期費用がかからない
仮想蓄電池は太陽光発電があれば、蓄電池を導入する必要がありません。太陽光発電で発電した余剰電力を、契約した電力会社に預ける仕組みになっています。そのため、蓄電池の購入をしなくても、月額料金だけで開始できるのがメリットです。
仮想蓄電池の『デメリット』
仮想蓄電池を利用するデメリットは以下の3つが挙げられます。
- 預けた電気は使用できない
- 月額料金が発生する
- 蓄電池の購入より割高になる可能性もある
仮想蓄電池は、手軽に始められるメリットがありますが、一方で、預けた電気は自由に使えません。また、長期的に利用すると通常の蓄電池の方がお得になる可能性があります。詳しい内容を見ていきましょう。
預けた電気は使用できない(停電時も利用できない)
仮想蓄電池に預けた余剰電力は、停電時に備えて貯めておける訳ではないため、供給されることはありません。同様に、災害時に備えることはできない点に注意が必要です。預けた電力は、数字の値として記録され、月額の電気料金から割り引かれる仕組みとなっています。
そのため、いざというときの備えを目的としている方は、仮想蓄電池では対応できませんので、通常の蓄電池を購入してください。
月額料金が発生する
仮想蓄電池は、サービスを提供する電力会社と契約し、月額料金を払う必要があります。余剰電力での割引額と月額料金の差で不利になる可能性があることも考えておきましょう。契約前に、シミュレーションや問い合わせで確認しておく必要があります。
蓄電池の購入より割高になる可能性もある
仮想蓄電池は蓄電池を購入する必要はありませんが、月額料金が発生するため、長期的に利用する場合、購入と比べて割高になる場合もあります。蓄電池の平均寿命である、10年〜15年をベースに考えると、結果的に仮想蓄電池のほうが利用料金が割高になる可能性があるからです。
仮想蓄電池と家庭用蓄電池どちらを選ぶべき?
ここまで、仮想蓄電池と家庭用蓄電池の違いやメリット・デメリットを紹介しましたが、どちらを選ぶべきか悩んでしまう場合は、目的によって仮想蓄電池と家庭用蓄電池を選ぶとよいでしょう。
下記でそれぞれの蓄電池におすすめな人をご紹介します。
仮想蓄電池の利用がおすすめな人
料金の割引率だけのサービスでよい初期コストに費用がさけない |
※ただし、仮想蓄電池を長期利用する場合、割高になることもあるため、注意しましょう。
家庭用蓄電池の利用がおすすめな人
発電した余剰電力を日中の時間帯に使用したい災害時のために電力を備えておきたい |
初期費用をかけず、料金の割引を目的とする場合は『仮想蓄電池』がおすすめです。余剰電力を有効に使いたいと考えている場合は『家庭用蓄電池』を選びましょう。
東京・関西電力の仮想蓄電池サービス『特徴とシミュレーション』
東京電力と関西電力の仮想蓄電池サービスの特徴は以下の表のとおりです。
東京電力 | 関西電力 | |
サービス名 | 再エネおあずかりプラン | 貯めトクサービス |
預けられる電力 | 毎月250kWhを上限 | 貯めトクサービスの3つのプラン・50kWh:800円/月・150kWh:2,350円/月・無制限:5,000円/月 |
利用料金 | 月額4,000円 |
東京電力「再エネおあずかりプラン」のシミュレーションは、以下の画像を参考にしてください。
東京電力の「再エネおあずかりプラン」では、250kWhまでは高い電気料金単価で割引が受けられる特徴があります。250kWhを超える分は、1kWhあたり8.5円での買い取りとなります。
関西電力の「貯めトクサービス」のシミュレーションは以下の画像が参考になります。
引用:
関西電力の「貯めトクサービス」は、50kWh・150kWh・無制限のプランがあります。超える部分は、1kWhあたり8円での買い取りとなります。
仮想蓄電池に関するよくある質問
仮想蓄電池に関するよくある質問を4つ、ご紹介します。
蓄電池は何年で元が取れる?
蓄電池の元が取れる年数は、およそ15年〜20年が一般的です。年数だけ見ると長く感じてしまいますが、20年後、30年後先を見ると、元以上に経済的なメリットがあります。蓄電池の寿命や劣化の進み具合も徐々に進んでいくため、状態によってはかなり長持ちします。
蓄電池で元をとるために詳しいことを知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
仮想バッテリーとは何ですか?
仮想バッテリーとは仮想蓄電池を別の言い方で現したもので、内容は仮想蓄電池と変わりはありません。発電した余剰電力を、貯めたり売ったりせずに、電力会社に「預ける」サービスです。
蓄電池をつけるデメリットは?
仮想蓄電池ではなく、蓄電池を設置した場合のデメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用がかかる
- 蓄電池の設置場所の確保が必要
蓄電池は、本体購入費や設置するための工事など、初期コストがかかります。また、蓄電池を設置する場所を確保する必要があります。
家庭用蓄電池の将来性は?
2030年には、家庭用蓄電池のコストは66%まで下がると予想されています。さらに需要の増加によって、市場規模は全世界で1.2兆円以上になるという試算が、さまざまな調査機関によって発表されているため、家庭用蓄電池の将来性は明るいといえるでしょう。
【まとめ】仮想蓄電池は電力を預けるサービスで自由に使えない
仮想蓄電池は、太陽光発電で発電した余剰電力を電力会社に預けるサービスです。しかし、預けた電力は、あとから使用することができません。預けた電力分を、料金から割り引くサービスとなっている点に注意が必要です。
発電した電気を効率的に活用したい場合や、非常時・災害時などのために使えるようにしておきたい場合は、仮想蓄電池ではなく、通常の家庭用蓄電池を選びましょう。
ミライでんちでは、ご自宅や生活スタイルにあった蓄電池選びのご相談を随時受け付けております。
蓄電池に精通したスタッフに、選び方から保証内容、補助金に関することまで、何でもご相談いただけます。ご相談だけでなく、お見積りも無料ですので、お気軽にお問い合わせください。