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更新日:2024年5月16日

蓄電池は環境負荷の軽減になる?リチウムイオン電池の抱える課題を解説

蓄電池について

蓄電池のイメージとして多いのが「省エネで電気代の節約になる」ではないでしょうか。しかし、蓄電池の購入を検討し始めると、

「蓄電池が環境に負荷がかかる」

「家庭用蓄電池に使われているリチウムイオン電池は環境に悪いと聞いた」

上記のように、蓄電池の環境負荷に関する情報を得て、悩んでいる方も少なくありません。実際、蓄電池の環境負荷に対する意見はさまざまです。

この記事では、蓄電池の環境負荷について意見が分かれている理由と、蓄電池に使用されている、リチウムイオン電池の環境問題への取り組みを紹介します。

ほかにも、家庭用蓄電池を導入することで、環境にどのようなメリットやデメリットがあるのかまで解説します。蓄電池購入を検討している方にとって、役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

蓄電池の環境負荷に対する意見は分かれている

蓄電池の環境負荷に対する意見は、見る角度によって意見が分かれます。蓄電池の使用は『省エネで環境や家計に優しい』とイメージする方も多いでしょう。

実際に、節電効果も高く電力を貯蓄しておける蓄電池は、環境負荷の軽減につながっています。しかし、蓄電池の生産工程に大きな電力が必要とされるのも事実です。

蓄電池の節電効果の高さと、生産工程に電力が必要な理由を以下の表にまとめました。

蓄電池の節電効果が高い理由蓄電池は、電気を充電して効率的に使い切ることができるため、節電効果が高まります。また、太陽光発電と併用し、売電時の送電ロスをなくすことで、環境負荷の軽減につながります。
蓄電池の生産工程に電力が必要な理由蓄電池の負極に用いられているグラファイト(黒鉛)という素材は、長時間、加熱されて加工されます。その加工時に、大量の二酸化炭素を排出しているため、環境負荷がかかっているのが理由です。

環境負荷を軽減するために、蓄電池のリユースや、リサイクルなどの取り組みも大きな課題の一つとなっています。

 

リチウムイオン電池の環境問題への取り組み

家庭用蓄電池に使われているリチウムイオン電池は、ほかの電池と比べて環境負荷が低いといえます。しかし、蓄電池の生産工程で大きな電力が使用されているため、その面だけで見ると環境に負荷がかかっているといえます。

蓄電池の生産工程の環境負荷を軽減するために、リチウムイオン電池のリユース・リサイクルに力を入れる企業も増えています。しかし、現段階では仕組みが完成されていません。

リユースとリサイクルの違いとは?

リユース:そのまま再利用、もしくは直して活用していく取り組みリサイクル:再利用可能な部品を取り出し、資源として活用していく取り組み

リチウムイオン電池のリユース・リサイクル市場は、現段階でどのような取り組みをおこなっているのか、市場概況について紹介します。

リチウムイオン電池 リユース・リサイクル市場概況

・2025年度のリチウムイオン電池のリユース・リサイクル市場は約25億円となる見込み。・電気自動車の市場拡大、普及が進み、リチウムイオン電池リユース・リサイクルのニーズが高まる。・使用済み電池の故障部分を交換・修理して再利用する「リユース」、リチウムやコバルトなどの材料を回収・再利用する「リサイクル」の研究、事業化が、自動車メーカーを中心に進められる。・リユース品は定置用蓄電池として用いられ、非常用電源の設置ニーズが高い病院、自治体等へ導入実績を重ねる。・新品に比べ安価であること、環境意識の高まりからリチウムイオン電池リユース・リサイクルは急拡大が見込まれる。

蓄電池の導入が環境にどのような『メリット』があるか

蓄電池を家庭に導入することで、環境に発生するメリットは以下の3つが挙げられます。

  1. リチウムイオン電池は環境負荷が低い
  2. 太陽光発電と併用でCO2排出量の削減効果がアップ
  3. 火力発電所の負荷を軽減

蓄電池の大きなメリットは、運用時に環境への負荷が軽減されることです。3つのメリットを詳しく見ていきましょう。

リチウムイオン電池は環境負荷が低い

家庭用蓄電池によく使用されているリチウムイオン電池は、ほかの電池と比べて環境への負荷が低くなるメリットがあります。蓄電池は主に、鉛蓄電池とリチウムイオン電池に分けられています。

鉛蓄電池に使われている鉛は、土壌に浸透してしまうと、土壌汚染のきっかけになり、生態系への悪影響につながる可能性が高いのが特徴です。一方でリチウムイオン電池は、鉛より環境に負荷がかかりにくい材料が使われているため、運用時は環境に優しい製品といえます。

太陽光発電と併用でCO2排出量の削減効果がアップ

家庭用蓄電池は、太陽光発電との組み合わせによって、二酸化炭素排出量削減の効果アップが見込めます。発電された電気を効率よく使用することが、送電ロス削減につながるため、結果として環境負荷の軽減になります。

環境負荷の軽減だけでなく、節電効果もあるため、家計への負担も少なくなるのもメリットの一つです。

火力発電所の負荷を軽減

蓄電池を導入することで、火力発電所への負荷が軽減できるメリットがあります。電力需要の多い昼間は、電力の供給を安定させるために、火力発電所への負担が増加します。その結果、二酸化炭素排出量も増加してしまうのです。

蓄電池を使用し、効率よく電力を使用することで、昼間の電力購入量を減らし、ピークシフトに貢献できます。

 

蓄電池の導入が環境にどのような『デメリット』があるか

蓄電池を家庭に導入することで、発生するデメリットは以下の2つが挙げられます。

  1. 蓄電池の生産工程で環境負荷がかかる
  2. リユース・リサイクルは発展途上である

蓄電池の運用時は、環境負荷の軽減につながりますが、蓄電池の生産工程で環境に負荷がかかるデメリットがあります。2つのデメリットを詳しく解説します。

蓄電池の生産工程で環境負荷がかかる

蓄電池の生産に使用されるグラファイト(黒鉛)という素材は、高温の炉内で長時間、加熱加工されています。加熱の工程で、大量の二酸化炭素を排出してしまうのです。そのため、蓄電池の生産過程で環境への負荷が大きくなってしまうのが、蓄電池導入のデメリットといえます。

リユース・リサイクルは発展途上である

蓄電池の生産工程で排出される二酸化炭素の削減のため、近年、リチウムイオン電池のリユース・リサイクルが注目されています。しかし、現在の技術では、まだリサイクルにかかるコストが高く、リサイクル技術が確立されていないのがデメリットです。

一方で、リチウムイオン電池のリユース・リサイクル市場は、さまざまな取り組みをおこなっており、大きな課題がありながらも、今後の展開に期待できるといえるでしょう。

 

個人でも蓄電池の環境負荷に取り組む方法

蓄電池の環境負荷に関しては、さまざまな課題があります。しかし、蓄電池は運用時の省エネ効果や節電効果の高さ、災害時の備えのためといった理由で、導入を検討している方も少なくありません。

個人でも、蓄電池の環境負荷軽減に取り組む方法は、環境に負荷がかかりにくい蓄電池を選ぶことです。

  • 定格容量と実効容量を把握
  • 自宅の電力使用量に合った蓄電池を購入する
  • オール電化なら200V対応型の家庭用蓄電池を検討する

環境負荷に取り組むためには、ご自身の生活スタイルに合った蓄電池を選ぶ必要があります。まずは、家庭用蓄電池の定格容量と実効容量を把握して選びましょう。

定格容量と実効容量の違いは以下のとおりです。

定格容量蓄電池全体の容量のことで、定格容量10kWhと記載がある製品は、10kWhまで蓄電できます。
実効容量蓄電された電気を実際に使用できる量のことです。実効容量は、定格容量から10%前後引き下げられた容量になります。例:定格容量が10kWhの場合、実効容量は9kWhです。

次に、自宅の電力使用量に合った蓄電池を購入しましょう。大きすぎても小さすぎても環境負荷や節電効果の効率が悪くなります。ご自身の生活スタイルに合った容量の蓄電池を選ぶことが大切です。

ほかにも、一部の住宅(IH対応やエコキュートなど)では、200V電源で稼働する仕様の設備があります。電気代を節約するには、200V対応の家庭用蓄電池が必要になりますので、選ぶ際は、注意してください。

 

蓄電池の環境負荷に関するよくある質問

蓄電池の環境負荷に関するよくある質問を3つ、ご紹介します。

電池は環境に悪いですか?

電池は、使い捨ての「一次電池」と充電式の「二次電池」に大きく分けられます。一次電池には、水銀、鉛、カドミウム、ニッケルなどの有害物質が含まれています。そのなかでも水銀は、埋立・焼却により土壌・海水・空気を汚染するなど環境への影響が大きく、多くの国で一次電池での使用が禁止・規制されているのが現状です。

使い捨ての一次電池は、環境に悪い有害物質が多いので、廃棄する際は、自治体のルールにしたがって処分してください。

リチウムイオン電池は環境にやさしい?悪い?

リチウムイオン電池自体は環境にやさしい製品ですが、使用されているコバルトやニッケル、マンガンなど、土壌や水を汚染する材料が多く使われています。そのまま廃棄してしまうと、環境汚染に直結しますので、処分方法は自治体のルールにしたがいましょう。

リチウムイオン電池が社会に与えた影響は?

リチウムイオン電池は、さまざまな用途で活用されており、石油やガスなどの化石エネルギーの使用量を減少させるメリットがあります。そのため、地球温暖化の抑制に役立つといわれています。

 

【まとめ】リチウムイオン電池は環境負荷の軽減に大きな役割を担う

蓄電池は節電効果も高く、太陽光発電と併用することで、売電時の送電ロスをなくすことができます。そのため、環境負荷の軽減につながっているといえるでしょう。しかし、蓄電池の生産工程で大きな電力を使用するため、環境に負荷がかかっているのも事実です。

生産工程での環境負荷を軽減するために、さまざまなリユース・リサイクルへの取り組みが始まっていますが、現段階ではまだ、確立されたものができていません。

しかし、蓄電池は、運用時の環境負荷の軽減が大きく、今後の展開が注目されています。

ミライでんちでは、ご自宅の電気使用量に合った蓄電池選びのご相談も受け付けております。

どのような蓄電池を選べばよいのか悩んでいる方はぜひお気軽にお問い合わせください。蓄電池に精通したスタッフがサポートいたします。

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