蓄電池の設置はどうすればよい?手続きの方法から設置場所、設置費用まで徹底解説!
蓄電池を設置するためには、適切な設置場所や条件を選択する必要があります。また、初めて蓄電池を設置する方にとって「設置費用はいくらかかるのか」「どの程度の規模の工事になるのか」など気になるポイントが多いでしょう。
本記事では、蓄電池の適切な設置場所や工事の流れ、設置費用について解説します。蓄電池の設置にともない、工事の詳細が気になっている方はぜひ参考にしてください。
目次
蓄電池の適切な設置場所とは?7つのポイントを解説!
蓄電池の設置場所は自由に選択できません。消防法に基づいた条件に設置する必要があります。ここでは、蓄電池を設置するための7つのポイントを解説します。
- 家庭用蓄電池は4,800Ah未満でなければならない
- ダクトや配線が壁を貫通する場合、壁が燃えないように処置する
- 十分なスペースに設置すること
- 風通しのよい換気できる場所に設置すること
- 燃えにくい床材の場所に設置する
- 浸水する可能性がない場所を選ぶ
- 蓄電池に触れない・近づかないようにする
①家庭用蓄電池は4,800Ah未満でなければならない
4,800Ah以上の蓄電池は非常に電流量が多く、火災が発生する可能性が高いです。4,800AhをkWhに換算すると「17.76kWh」です。家庭用蓄電池の蓄電容量は、5kWh〜7kWhが一般的な容量であり、大きい容量でも10kWhほどでしょう。
販売されている家庭用蓄電池の最大容量でも16.6kWhであるため、誤って17.76kWh以上の蓄電池を設置する心配はありません。
②ダクトや配線が壁を貫通する場合、壁が燃えないように処置する
設置場所によっては、自宅の壁に穴をあける配線工事が必要です。その際、配線と接する壁を不燃材料で埋めなければなりません。
適切な処置がおこなわれなかった場合、配線の熱で火災になる危険性があります。壁に穴をあける配線工事がおこなわれた際、不燃性の素材を使用しているか業者に確認をとるとよいでしょう。
③十分なスペースに設置すること
家庭用蓄電池を設置する場合、転倒する可能性が少ない、十分なスペースを確保する必要があります。また、屋外に10kWh以上の蓄電池を設置する場合は、建築物から3m以上離して設置すると消防法で決められています。
蓄電容量が大きい蓄電池を設置する場合は、業者とよく相談するとよいでしょう。
④風通しのよい換気できる場所に設置すること
屋外・屋内に限らず風通しのよい、換気できる場所を選択しましょう。風通しが悪く、換気ができない場所に設置した場合、蓄電池の排熱機能が低下します。熱を持った蓄電池は、部屋のほこりに発火する恐れがあり、火事になる可能性があります。
また、金属製の床は熱がこもりやすいため注意が必要です。金属製の床に設置する場合は、基礎となる土台で固定し、通気性を確保する必要があります。
⑤燃えにくい床材の場所に設置する
燃えやすい木製の床材は、火災の危険性が高いため蓄電池の設置は禁止されています。また、蓄電池を設置する床材は耐酸性と決められています。
自宅に耐酸性の設置場所があるかわからなければ、業者に相談するとよいでしょう。なお、アルカリ性の蓄電池を設置する場合は、耐酸性の床材でなくても設置できます。
⑥浸水する可能性がない場所を選ぶ
蓄電池が浸水してしまうと、漏電する可能性があります。浸水し、漏電した蓄電池に近づくと、感電する恐れがあるためむやみに近づかないようにしましょう。
業者とよく相談し、浸水する可能性のない場所を選択してください。
⑦蓄電池に触れない・近づかないようにする
蓄電池を設置したあとは、むやみに近づいたり、触ったりしないでください。蓄電池は常に運転状態であるため、火災や漏電などにつながる可能性が高いでしょう。
また、蓄電池への接近による転倒、破損から蓄電池の故障につながります。特に、小さなお子様やペットが簡単に近づける場所に設置しないようにしましょう。
蓄電池の工事内容は?設置までの流れ【5ステップ】
蓄電池の設置工事にかかる時間は、5〜7時間ほどで作業が完了します。短時間の工事でも内容は把握しておくべきでしょう。ここでは、蓄電池の工事内容や設置までの流れの5ステップを解説します。
- 業者と現地調査する
- 蓄電池を設置するための基礎工事
- 蓄電池を基礎に設置する
- 蓄電池をつなげるための配線工事をする
- 試運転で動作確認をする
①業者と現地調査する
業者にすべて任せてしまうのはよくありません。必ず業者の担当者と打ち合わせ、現地調査をおこなってください。蓄電池やパワーコンディショナーの設置場所、設置条件などを確認しておくと工事のイメージがしやすいでしょう。
②蓄電池を設置するための基礎工事
現地調査で決定した設置場所に基づき、基礎工事をおこないます。蓄電池を安全に設置するためには、簡易基礎やコンクリート基礎で固定する必要があります。転倒による故障・火災が発生しないために、より頑丈に固定しましょう。
なお、金属製の床材でない室内に設置する場合は、基礎工事の必要はありません。
③蓄電池を基礎に設置する
基礎工事の完了後は、蓄電池やパワーコンディショナーを安全に使用できるように基礎へ固定します。蓄電池の設置は専門的な知識や技術が必要であるため、業者に任せましょう。
むやみに近づくと蓄電池の転倒、故障につながる可能性があります。
④蓄電池をつなげるための配線工事をする
蓄電池と家庭の電力システムに接続するために、配線工事をおこないます。設置場所によっては、自宅の壁に穴をあける工事も含まれます。その際、あけた壁の穴に不燃材が使用されているか、業者に確認をとりましょう。不燃材の使用は消防法により決められています。
また、すでに自宅に太陽光発電が設置されている場合は、太陽光発電システムにも接続する必要があります。打ち合わせ・現地調査の時点で業者に確認をとっておきましょう。
⑤試運転で動作確認をする
パワーコンディショナーやリモコンなど、すべての機能が正常に動作するかテストします。試運転の際、蓄電池の正しい活用方法や適切な管理、メンテナンス方法の説明を受けるとよいでしょう。
日頃から蓄電池のシステムや操作に慣れておくと、緊急時にも冷静に対処できます。
蓄電池の設置費用は約90〜300万円が相場
(※)経済産業省の資料によると、家庭用蓄電池の本体価格と設置工事費用は18.7万円/kWhが相場とされています。例えば、5kWhの家庭用蓄電池を設置する場合を計算すると、以下のとおりです。
5kWh×18.7kWh=93.5万円
家庭用蓄電池は5〜7kWhが一般的な容量であるため、多くの人が90万円から費用がかかると考えてよいでしょう。ちなみに、販売されている家庭用蓄電池のなかで最大容量である16.6kWhの場合を計算すると、以下のとおりです。
16.6kWh×18.7kWh=310.42万円
上記のシミュレーションから、家庭用蓄電池の設置費用は約90〜300万円が相場であるとわかります。家庭で使用する電気量を考慮した家庭用蓄電池を選択してください。
(※)経済産業省『定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討』
家計の手助けに!蓄電池を設置するメリット4つを解説!
蓄電池を設置するメリットは、家計の経済的な補助、停電時の非常電源になる点です。
長期的な目線でみると、大幅な電気代の削減が期待できるでしょう。
ここでは、蓄電池を設置するメリットについて、以下の4つを解説します。
- 夜間電力で家庭の電気代削減・ピークシフトを避ける
- 停電時の非常電源として活用できる
- 太陽光発電との併用で蓄電可能
- 補助金の申請ができる
①夜間電力で家庭の電気代削減・ピークシフトを避ける
電気使用量が多い時間帯を避け、夜間に電気を使用する戦略を「ピークシフト」といいます。蓄電池の設置により、日常的に蓄電した電気を使用できるためピークシフトに貢献可能です。
なお、積極的にピークシフトしてもらうために夜間電力プランを用意した電力会社も存在します。安い電気代で蓄電できるため、効率的に家庭の電気代を削減できるでしょう。
夜間電力プランについて、詳しい内容は以下の記事で解説しています。
関連記事:「深夜電力(夜間電力)とは?蓄電池の利用で節電し安くなる方法を解説!」
②停電時の非常電源として活用できる
災害時に自宅で電気が使用できると、大きな安心材料となるでしょう。主に使用する電化製品の電力消費量は以下のとおりです。
電化製品 | 電力消費量 |
冷蔵庫(450L) | 250W |
エアコン | 45W〜2000W |
洗濯機 | 500W〜900W |
スマートフォン(充電時) | 20W〜30W |
LED照明 | 約15W〜25W |
例えば、5kWhの蓄電池をフル充電にした場合、冷蔵庫の使用時間は以下のとおりです。
5kWh÷250W=20時間
冷蔵庫は連続で20時間の使用が可能だとわかります。
③太陽光発電との併用で蓄電可能
太陽光発電だけでは蓄電できませんが、蓄電池の設置により蓄電が可能です。
また、太陽光発電で発電された再生可能エネルギーは、FIT制度(固定価格買取制度)により一定価格で電力会社への売電ができます。なお、FIT制度は10年間と期間が設けられています。
関連記事:FIT制度後は蓄電池でお得に節約!導入手順やメリット・デメリットを解説
④補助金の申請ができる
蓄電池の設置タイミングで、補助金の申請ができるか確認しましょう。2023年には、国から以下の3つの補助金制度が出ています。
補助金制度 | 補助金額 |
子どもエコ住まい支援事業 | 64,000円/戸 |
DR補助金 | 上限 60万円/戸 |
DER補助金 | 上限 60万円/戸 |
なお、上記3つの補助金制度は予算金額の上限に達した場合、補助金が出ないので注意しましょう。
関連記事:蓄電池の補助金制度は打ち切り?国や地方自治体の制度を確認しよう
【まとめ】蓄電池の設置は専門家を頼ろう
蓄電池を設置するには、専門的な知識や作業が必要です。設置の検討段階から蓄電池の専門家、業者に相談するとよいでしょう。蓄電池の正しい知識の説明、家庭に寄り添った提案やサポートが受けられます。
ミライでんちでは太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。
蓄電池導入に際しての補助金の活用方法についても無料でアドバイスをおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。