蓄電池ブレーカーの使い方ガイド!落ちる時・停電時の対応・太陽光発電のブレーカー復旧も解説
蓄電池には住宅用の分電盤と同様にブレーカーが設置されています。生活に馴染み深い電気ですが、専門的な内容が多く難しいと感じますよね。
この記事では以下について解説しています。
- ブレーカーの基礎知識
- ブレーカーが落ちてしまう原因
- 停電した時はブレーカーをどうすればいい?
- 太陽光発電のブレーカーを復旧する方法
この記事を読めばブレーカーの理解が深まり、緊急時でも適切な対応ができるようになります。ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
蓄電池で使用されるブレーカーについて
ブレーカーは蓄電池に限らず、ほぼ全ての電気設備に設置されている欠かせない存在です。停電時には、分電盤のブレーカーを扱うこともあるので、ぜひ参考にしてください。
この項では以下について解説します。
- ブレーカーの基本的な機能
- ブレーカーの種類と特性
- ブレーカーの必要性は?
ブレーカーの基本的な機能
ブレーカーは以下の機能が備わっています。
- 過負荷(※1)時に電源側設備を保守するために遮断(落ちる)する。
- 漏電(※2)を検知して、電源側(※3)・負荷側(※4)設備を保守するために遮断する。
- 電気設備を工事するために停電する。
※1過負荷とは、使える電気より多くの電気が使用された状態のこと
※2漏電とは、電気回路から電気が漏れている状態のこと
※3電源側電気設備とは、ブレーカーより発電設備に近い側
※4負荷側電気設備とは、コンセントや室内灯など電気を消費する側
ブレーカーの内部構造は至ってシンプルで、室内灯のスイッチのようにON・OFFと合わせてセンサーが付随されています。「ブレーカーが落ちる」という状態は、内蔵されているセンサーが反応して電気を遮断した状態です。
ブレーカーの種類と特性
ブレーカーには大きく分けて二つの種類があります。
- 熱動型:電流が一定値を超えると熱によって作動し、電流を遮断。
- 電磁型:突然の大電流(ショート)に反応し、即座に電流を遮断。
家にある分電盤をみてみましょう。熱動型はアンペアブレーカーと呼ばれ、分電盤に〇〇A(アンペア)と書かれているブレーカーが該当します。
その隣に位置しているブレーカーが漏電ブレーカー。さらに隣に設置されている複数のブレーカーを安全ブレーカーと呼びます。
ブレーカーの並びや順番は、電気規格に定められているので、どの建物でも大きな差はありません。
他にも、中性線欠相保護機能(※5)が内蔵されたブレーカーやサーキットブレーカーなどの種類があります。
(※5)中性線とは、3本で送電されているうちのアースの役割を果たす線。この線が欠相すると100V家電に200Vが流れ故障してしまう。中性線欠相保護機能は電圧の異常を検知し電気設備を守る役割を持つ。
ブレーカーの必要性は?
この遮断機能は、電気火災や家電の破損を防ぐ安全装置の役割があります。特に、大容量の電力を扱う蓄電池のような設備では、ブレーカーの役割が一層重要です。
ブレーカーは、電線や電気設備に流れても良い電流(許容電流)に、安全率0.8をかけた容量で設定されています。ブレーカーが正常に作用していなければ、過負荷状態のときに破損や火災に繋がります。
頻繁にブレーカーが落ちてしまって億劫に感じても、高価な蓄電池や家族を守るためにブレーカーは大切な役割を果たします。
蓄電池のブレーカーが落ちる時はどんな時?
蓄電池のブレーカーが落ちる場合は、以下3点が想定されます。
- 容量以上の電気を使用したとき
- 漏電を検知したとき
- 設備やブレーカーが故障しているとき
それぞれ解説していきます。
容量以上の電気を使用したとき
容量以上の電気を使用した時には、アンペアブレーカーが作動します。
たとえば、「夕飯時に調理家電やエアコンとドライヤーを使った」「親戚が集まって各部屋で電気を使った」などの状況はブレーカーが落ちやすい状況です。
使用できる電気量を把握して制限したり、節電機能がある家電にしたりなどの対策をしてみましょう。
エアコン・電子レンジ・ドライヤー・食器洗い機・電気ストーブといった家電は電力消費が多い家電なので、同時使用する際の参考にしてください。
漏電を検知したとき
漏電ブレーカーにて漏電を検知すると、電気設備を保守するために漏電ブレーカーが作動します。
漏電してしまう状況は以下が考えられます。
- 濡れた手でコンセントプラグを触って差し込んだ
- 大掛かりなDIYで、電線を傷つけた
- 電気設備の故障
もし停電したときに、漏電ブレーカーが作動していた場合は、何らかの電気設備が故障しているかもしれません。
室内の電気設備を修理や分解する場合は、第2種電気工事士といった国家資格が必要な場合があるため、専門業者へ点検の依頼をしてください。
設備やブレーカーが故障しているとき
設備やブレーカー自体の故障もブレーカーが落ちる原因となります。特に古い建物や設備では、経年劣化による故障が起こりやすいです。
また、太陽光発電のブレーカーは高温や多湿によってシステムが誤動作を起こしてブレーカーが落ちる場合があります。
梅雨の時期や連日猛暑が続くような日にブレーカーが頻繁に落ちるようであれば、設置業者へ問い合わせをしてみると良いでしょう。
停電時には蓄電池への切り替えを!
近年多発している線状降水帯や台風・地震などの自然災害時には、屋外の電気設備の異常によって停電が発生しやすくなります。
太陽光発電と蓄電池を設置している方は、停電時には以下を参考にしてください。
- 蓄電池を「自立運転モード」へ変更
- 蓄電池と配電線路を繋ぐブレーカーを落とす
配電線路側のブレーカーを落とすのには理由があります。それは、復旧時に流れる「突入電流」によって、家電の故障や漏電が発生する可能性があるからです。
この停電からの復旧時に起こる火災を「通電火災」とよび、自然災害による停電時には全国各地で発生しています。
復旧時には、配電線路の電気と蓄電池の電気との同調も必要になるため負荷が大きくなり、システムエラーが生まれやすくなります。長時間の停電が予想される場合は配電線路と蓄電池側を切り離しましょう。
また、蓄電池には全負荷型と特定負荷型があります。それぞれ電気の使い方が異なるので、自宅に設置されている蓄電池の型を確認しておきましょう。
関連記事:停電時の蓄電池活用法とは?蓄電池の基礎知識と停電対策も解説
太陽光発電のブレーカーを復旧させるには?
太陽光発電システムは、独自のブレーカーを持っています。落ちた場合、まずはシステムの状態を確認し、問題なければ適切な手順に従ってブレーカーを元に戻しましょう。
この項では以下2点を解説します。
- 蓄電池のブレーカーの位置は分電盤の近く
- 何度復旧してもブレーカーが落ちる場合は?
それぞれみていきましょう。
蓄電池のブレーカーの位置は分電盤の近く
蓄電池のブレーカーは、住宅用分電盤の近くに設置されていて玄関や洗面所が一般的です。住宅用分電盤の近くに設置するのには以下2つの理由があります。
- ケーブルが長くなると電気ロスが大きくなる
- 電圧上昇抑制という現象を抑える
ケーブルが長くなると、電線がもつ抵抗によって電気が流れにくくなり電気ロスが大きくなってしまいます。水のホースをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
ホースが長くなると出てくる水の勢いが弱くなりますよね。ケーブルを短くするために、ブレーカーは住宅分電盤の近くに設置されています。
また、電圧上昇抑制とは、パワーコンディショナーに搭載されている機能です。電気を売る「売電」に必要な機能ですが、ケーブルが長いと悪い方向に作用してしまい、屋内の電圧が下がりすぎてしまいます。
もし蓄電池のブレーカーが住宅用分電盤から遠く、ブレーカーが落ちたり家電の様子がおかしかったりする場合は設置業者へ問い合わせしてみましょう。
何度復旧してもブレーカーが落ちる場合は?
蓄電池のブレーカーが何度も落ちる場合は以下を確認してみてください。
- 落ちるブレーカーの種類と容量
- パワーコンディショナーの電圧上昇抑制の設定
- 使用している電力と使用場所の偏り
ブレーカーによって役割が決められているため、落ちたブレーカーによって大まかな原因を判断できます。
もし、漏電ブレーカーが落ちる場合は火災に発展する可能性が高いため、すぐに電気事業者や電気工事会社などに連絡してください。
【まとめ】災害時や停電時はブレーカーの扱いが重要
ブレーカーはほぼ全ての電気設備に設置されていて蓄電池も該当します。
ブレーカーにはそれぞれの機能が内蔵されており、ブレーカーによって停電の理由を調べることも可能です。
家電や蓄電池などの設備を保守するためにも、知識を身につけて適切な管理と操作ができるようにしておきましょう。