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更新日:2023年10月26日

蓄電池の容量は計算で目安を出せる!生活状況にあった選び方・単位や基礎知識を紹介

蓄電池について

「蓄電池の容量ってどう決めればいいの?」

蓄電池を選ぶ際、容量を決めるのが難しいと感じている方は多いのではないでしょうか。蓄電池選びに失敗した事例として、容量を間違えたと答える方も多く、難しい問題といえるでしょう。

そこでこの記事では、蓄電池の容量を簡易的に決められる計算方法や、住宅の状況によっての容量選びの目安を紹介しています。

kWhやAhなど、容量について関連する情報をわかりやすく解説していますので、ぜひ最後まで目を通してください。

現状の消費電力から蓄電池の容量を決める計算式

蓄電池の容量を決める材料として以下2つの求め方ができます。

  1. 毎月の電気料金に記載されている消費電力量から1日分の消費電力を算出
  2. 停電時に使用したい家電の消費電力から算出

まず、なぜ1日分なのかについてお話しします。2019年に発生した大型台風の15号では関東地方、19号では中部地方で大規模な停電が発生しました。

その際、丸一日で電気が復旧した世帯は50%であることから、蓄電池の容量は丸一日分の電力を賄える容量を推奨しています。

そのため1の求め方は、電気代の請求書に付随して記載されている1ヵ月の消費電力量から、1日分の消費電力を調べて容量を算出する方法です。例えば月の消費電力が360kWhであった場合、1日分は12kWhとなり、それ以上の蓄電池が最適ということになります。

また2の求め方は、冷蔵庫やボイラー、照明など停電時でも常時稼働させたい家電の消費電力を合計し、蓄電池の容量を算出する方法です。計算式は『使用家電の消費電力×稼働時間』を家電ごとに足していきます。

【例】

  • 冷蔵庫の消費電力を600Wとして24時間使用
  • 灯油ボイラーを500Wとして2時間使用
  • 照明を10Wとして8時間使用

1日分の消費電力を計算してみましょう。

(0.6×24)+(0.5×2)+(0.01×8)=15.48kWh

上記を使用する場合は、約15kWhの蓄電池が必要ということになります。

参考:東京電力『台風15号に伴う停電復旧対応の振り返り』

自宅にマッチする蓄電池の容量の目安は?

上項にて簡易的に蓄電池の容量を決める計算式をご紹介しましたが、省庁の調査を参考にすると生活状況ごとの世帯あたりの平均消費電力を調べられます。

  1. 太陽光が設置されている住宅
  2. オール電化住宅
  3. エネファームや電気自動車がある住宅

上記3点の住宅における蓄電池容量の目安をみていきましょう。

①太陽光も設置する(設置されている)住宅

住宅用太陽光発電の自家消費量は発電量の約3割と言われています。また、5kWの太陽光発電の月間発電量の平均は511kWhとされています。(※1)

さらに、一般需要の年間消費電力量は、資源エネルギー庁の調査では約4200kWh、月間にすると350kWhでした。(※2)

上記の条件を以下にまとめてみましょう。

  • 太陽光発電の自家消費電力量は153.3kWh(511kWhの3割)
  • 月間消費電力の参考値350kWh
  • 350−153.3=196.7kWhが買電量

約197kWhを1日に直してみると、6.57kWhとなります。つまり、太陽光発電を設置した住宅では、6kWh以上の蓄電池があれば1日分の電気を賄える計算です。

(※1)参考:資源エネルギー庁『地域活用要件について』
(※2)参考:資源エネルギー庁『家庭でのエネルギー消費量について』

②オール電化で消費電力が大きい住宅

オール電化住宅は2022年から2023年の冬季にかけて、ひと月の電気代が10万円を超えたというニュースが話題となりました。その際、冬季間(12月〜3月)の月間消費電力量が1,000KWh程度だったことから、年間の電力消費量を仮に10,000kWhとします。

すると一日あたりの消費電力は約27.4kWhとなります。

家庭用蓄電池の最大容量は、現在販売されているものだと16.6KWhですので、蓄電池のみでは1日分を賄えません。

そのため、太陽光発電の設置や特定負荷型というタイプの蓄電池を導入し、停電時に使用できる家電の限定を行う必要があります。

参考:資源エネルギー庁『ひと月の電気代が10万円超え!?オール電化住宅の電気代を考える』

③エネファームや電気自動車などの電源設備がある住宅

エネファームや電気自動車などの電気設備が持つ、住宅の電力を補助する働きを考慮して蓄電池の容量を考えてみましょう。

日本ガスが製造しているエネファームの年間発電量は約3,800kWhです。エネファームは電力消費に合わせて発電するため、発電余剰分がほとんど発生しません。

そのため、電気を賄うという目的であれば蓄電池はほとんど必要ありません。しかし、エネファームは発電するための燃料としてガスを使用しています。

蓄電池と合わせることで、電気代の軽減と合わせてガス代の節約にも繋がり、災害時にガスの供給が止まってしまった場合でも、蓄電池にて電気の供給が可能です。

また、電気自動車に発電能力はありませんが、充電してある電気を災害時に住宅に放電する使い方や、家に置いてある間は蓄電池代わりとして使うことができます。

エネファームや電気自動車がある住宅の場合は、太陽光発電と蓄電池を合わせることで、より光熱費の削減と災害時の確実な備えになります。

上記のことから蓄電池の容量は5kWh程度で十分といえるでしょう。

関連記事:V2Hと蓄電池の併用がおすすめの理由!蓄電池なしの効果も解説
関連記事:エネファームと蓄電池の関係性|違い・連携・太陽光との併設も解説!

日本で多い家庭用蓄電池の容量は5〜8kWh未満

日本電機工業会の調査では、2022年の国内外の輸出台数が一番多かったのは6〜10kWh未満でした。続いて3kWh〜6kWh未満の容量となっています。

さらに詳細を確認すると、6〜10kWhの中での平均容量は8kWh、3〜6kWhの平均が5kWhとなっており、5〜8kWhの蓄電池を設置している住宅が多いと考えられます。

資料内にある『系統連系型蓄電システム用パワコンのシングル、マルチの比率』をみてみると、マルチいわゆるハイブリッド型の出荷台数が80%であることから、太陽光発電とセットの設置で、5〜8kWhの出荷台数が多いと予想されます。

太陽光発電と蓄電池をセットで設置する場合は5〜8kWh、太陽光発電を設置しない場合は8kWh以上と覚えておくとよいです。

参考:一般社団法人 日本電機工業会『JEMA 蓄電システム自主統計 2022 年度出荷実績』

【簡単解説】蓄電池の容量とは、蓄電できる量を表したもの

蓄電池の容量は水のタンクの容量と考え方は同じで、電気をためておける、あるいは放出できる電気量を表したものです。

電気では普段見慣れない単位が出てくるため、難しく感じる方も多いのではないでしょうか。

まずは蓄電池の容量を表す単位『kWh』と『Ah』について解説します。

単位はkWhを用いる|Ahはなに?

まずそれぞれの単位を分割してみましょう。

単位意味求め方
W(ワット)電力量を表すV(電圧)×A(電流)=W
A(アンペア)電流を表すW(電力)/V(電圧)=A
h(アワー)1時間を表すWh=1時間あたりの電力
k(キロ)1,000の略称1kWh=1,000Wh

ほとんどの蓄電池の容量は『kWh』で表記されていますが、まれにAhと表記される蓄電池を見かけます。これは時間あたりの電流量を表しており、100Ahと記載された蓄電池は10Aの製品を10時間稼働できる容量とされています。

簡単に考えると、電力(W)の代わりに電流(A)で表記されていると考えるとよいです。

家電の製品情報欄には、消費電力に加えて電流の記載もありますので、どちらも参考にして蓄電池の容量を選びましょう。

家庭用蓄電池の最大・最小容量は?

家庭用蓄電池の容量は0〜17.76kWhです。それ以上の容量をもつ蓄電池は、消防法の規制を受けるため家庭用ではなく事業用または産業用蓄電池として区分されます。

現在日本で販売されている最大の蓄電池はニチコン社が製造している16.6kWhです。また、最小の容量は3.2kWhとされています。

3kWh以下になると、定置用蓄電池ではなく持ち運びができるポータブル蓄電池になるので、現在の家庭用蓄電池の容量幅は3〜16.6kWhとなっています。

参考:総務省消防庁『蓄電池設備の規制の見直しについて』
参考:ミライでんち『製品情報:ニチコン』
参考:ミライでんち『製品情報:3kWh〜5KWh』

【メモ必須】蓄電池を選ぶときに重要な実効容量とは

実効容量は蓄電池を損傷させないために定格容量から約1kWhを引いた容量のことです。

蓄電池は全ての電気を放電しきると、蓄電池容量が減少してしまうため最後まで放電しきってしまわないように内部で調整されています。

例えば蓄電池容量の記載が5kWhだった場合、実際に電気を充放電できる容量は約4kWhでとなります。

もし、自宅に必要な蓄電池容量が5kWhと算出されたとすれば、実際に購入する蓄電池は6kWh以上を選ぶようにしましょう。

蓄電池寿命を延ばすSOC下限とサイクルについて

まずは蓄電池のサイクルについて解説します。1サイクルは電気が空の状態から満充電し、再び空になった状態をいいます。

蓄電池の寿命は10〜15年と言われていますが、理論上は充放電のサイクルによって概算されます。

近年普及しているリチウムイオン蓄電池の寿命とされているサイクル数は、8,000〜12,000回とされているため、1日に1サイクルと計算した場合、寿命は最長で32年になります。

SOC下限とは蓄電池の残充電数を指定できる機能です。サイクル数を無視した、余裕を持った稼働を行えるため、サイクルを消化しない運用方法によって延命が可能になります。

ただし、SOC下限を50%に設定した場合、蓄電池の実効容量の半分しか電気を使えなくなるため、下限値を高くしすぎると蓄電池を活用しにくくなるので注意してください。

まとめ:算出した容量はあくまで目安!専門家に相談がおすすめ

この記事では蓄電池の容量を選ぶ判断材料として、計算方法と全国平均から目安を紹介してきました。

しかし、紹介した方法はあくまで目安であり、使っている家電の種類・暖房使用期間・日当たりなど、考慮すべき点が多くあります。

蓄電池の購入を失敗したという方には「購入する容量を間違えた」という声もありますので、専門家への相談をおすすめしています。

ミライでんちでは「なかなか容量が決められない」というお客様に、最適な蓄電池の容量選びをご案内します。

蓄電池の初期費用を抑えたい方には、ミライでんち特別価格もご用意しておりますので、まずは無料相談をご利用ください。

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