太陽光と蓄電池の仕組みや構造を図で解説|最適化する方法も紹介
「太陽光パネルってどうやって発電しているの?」
この記事を読んでいる方はこのように考えているのではないでしょうか?簡潔に説明すると、太陽光パネルは光を利用して半導体内で化学反応を起こして発電しています。
この記事では太陽光が発電する仕組みについて、図解を用いて解説しています。また、太陽光と相性の良い蓄電池が充放電できる仕組みについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【図で解説】太陽光で電気を発電する仕組みは?
太陽光パネルは、風車やダムなどと同じ自然エネルギーを使った発電機ですが、大きな違いとして発電のプロセスに、動きがないことが挙げられます。
風車は風の力でプロペラを回すことで発電し、ダムでは放水の勢いを利用して発電しています。
対して、太陽光パネルは化学反応を用いて発電しているため、目に見える動きを必要としていません。この項では、そんな太陽光パネルについて以下に分けて解説します。
- 太陽光パネルの種類と特徴
- 太陽光パネルが電気を発電する原理は化学反応
- 太陽光パネルが発電できる電力量
太陽光パネルの種類と特徴
太陽光パネルは主に、シリコン型・化合物型の2つの種類に分けられます。それぞれの特徴をみてみましょう。
シリコン型 | 単結晶シリコン | 結晶が規則正しく並んでいるのが特徴。各メーカーが採用している一般的な型。 | ||||
多結晶シリコン | 結晶の並びが不規則な結晶型。単結晶より性能は劣るものの安価に設置できるため産業用として活躍している。 | |||||
アモルファスシリコン | 非結晶型。初期劣化や変換率の低さはあるものの、温度変化に強く気候に左右されにくい安定した発電ができる。 | |||||
ヘテロ接合型 | 結晶型と非結晶型のハイブリッド型。それぞれのメリットを併せ持っているが、製造が複雑であり他の太陽光パネルに比べて高価。 | |||||
化合物型 | CIS/CIGS | CISは使用されている素材(銅・インジウム・セレン)の頭文字をとった名称。CIGSはガリウムが追加されている。シリコン系に比べて発電効率は低いが、安価なことから今後が期待されている。 |
その他にも有機物系や電子ドット系など、さまざまな種類がありますが、現在はシリコン型が一般的に普及しています。
太陽光パネルが電気を発電する原理は化学反応
まずは以下の図をご覧ください。
これは太陽光パネルが光を受けた際に電気が発生する仕組みを簡潔に表したものです。
マイナス電子は、正の性質をもつ『正孔』別名『ホール』に引かれる性質を持っています。そのため、n半導体によって生まれた電子は、電球の+へと電路を流れていくという仕組みです。
太陽光パネルが発電できる電力量
太陽光発電協会(JPEA)3)によると1kWあたりの年間発電量は、1000kWhが目安とされています。
家庭用の場合、3〜5kWhが一般的であることから、1日の発電量の目安は約8.2〜13.7kWhです。ただし、天候や地域、日照時間、立地など考慮すべき点は多々あるため、あくまで理想の数値であると考えるといいでしょう。
ちなみに、環境省が発表した令和2年の1世帯あたりの平均電気消費量は4,258kWhでした。平均的な電力消費をしている家庭であれば、5kWの太陽光発電で年間を賄える計算になります。
参考:環境省「世帯当たり年間エネルギー種別消費量(固有単位)および支払金額
蓄電池が充放電を繰り返す仕組みは?
太陽光発電は、電気の使用が比較的少ない日中が最も発電するため、発電した電気の余剰分が生まれてしまいます。そのため蓄電池との相性が良く、太陽光発電とセットで設置されることが多いです。
では蓄電池が電気を充放電できる仕組みも気になる方がいるのではないでしょうか。そこでこの項では蓄電池の仕組みについて解説します。
リチウムイオン電池の構造で解説
スマホのバッテリーやモバイルバッテリーにも使用されている『リチウムイオン電池』は家庭用蓄電池にも採用されており、近年急速に普及しています。
今回はリチウムイオン電池を参考に、蓄電池の仕組みについてみていきましょう。以下の図をご覧ください。
このように電池内では、リチウムイオンが正極と負極の電極を行ったり来たりすることで、電気を生み出しています。
充電する際には、リチウムイオンは負極へ移動し、電子を蓄えます。放電の際には、負極の電極を解して電子が電路へ流れ、リチウムイオンは正極へ移動するという仕組みです。
リチウムイオンという分子の活動によって、リチウムイオン電池は電気を充放電しています。
さらに詳しく知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
関連記事:「【プロが解説】蓄電池の仕組みや内部構造を紹介|太陽光の連携・充放電も」
蓄電池に必要な材料は電極・電解液・セパレータ
蓄電池は鉛やリチウムイオンなどの種類がありますが、基本的な構造に大きな違いはありません。必要なものは主に以下の3つです。
- 電極
- 電解液
- セパレータ
ただし、電池の種類が違えば、これらの材質は全く異なるものが用いられます。例えば、リチウムイオンの電解液は、有機溶媒が使用された『有機電解液』が使用されていますが、鉛蓄電池の電解液は純粋な希硫酸です。
電極も、正極と負極で異なるものが使われていたりと、性能を高めるためにさまざまな工夫がなされています。
太陽光と蓄電池が連携する配線図
まずは太陽光発電システムのみの配線図をみてみましょう。
太陽光パネルで発電された電気は、直流という電気の性質であるため、パワーコンディショナー(以下パワコンと表記する)によって交流へと変換し、住宅用の分電盤に接続されます。
蓄電池がある場合は、このパワコンから分岐して蓄電池ユニットへ配線されています。
太陽光発電システムや蓄電池システム、またはそれらを合わせたシステムにパワコンは欠かせません。
ではなぜパワコンが重要なのか気になる方は、ぜひ続きをご覧ください。
【重要】ハイブリッド型だと電気ロスが少ない理由
以下の図をご覧ください。
こちらは太陽光と蓄電池の配線を簡易的にし、電気の性質を表したもので、パワコンはハイブリッド型です。
パワコンには、主に『単機能型』と『ハイブリッド型』があります。単機能型は1つのシステムにつき、パワコンが1つ必要ですが、ハイブリッド型は1つのパワコンで2つのシステムを管理できます。
もし、太陽光と蓄電池が単機能型のパワコンを使用していた場合、以下の順番で蓄電池に電気が送られます。
- 太陽光で発電した直流の電気が送られる。
- 太陽光のパワコンが交流に変換する。
- 交流で送られてきた電気を、蓄電池のパワコンが直流に変換する。
- 直流に変換された電気を、蓄電池が充電する。
上記のように無駄な手順が生まれてしまうのです。
直流から交流に電気を変換する際に、約5%の電気ロスが生まれてしまうと言われているため、変換が少ないハイブリッド型がおすすめです。
パワコンについてさらに詳しい情報が欲しい方は以下の記事を参考にしてください。
太陽光と蓄電池システムは自作が可能?
太陽光発電システムと蓄電池システムは、家庭用に設置されている設備を真似ることで自作が可能です。
家電量販店では、出力は小さいものの、スマホやタブレットなどの小型電化製品を充電または稼働できるキットも販売されています。
ただし、そのキットを改造したり車用のバッテリーを複数繋げたりといった自作蓄電池は、プロの視点から言うとおすすめできません。
なぜなら、蓄電池システムは電気の知識と技術を持った者が行わなければ、家電の故障・感電・火災などさまざまなリスクが伴うからです。
なぜ、蓄電池の自作をおすすめしないかは、以下の記事にまとめてありますので、気になる方はご覧ください。
関連記事:「【プロ目線】蓄電池の自作は危険だらけ!オフグリットを目指すなら・・・」
理想的な太陽光の設置条件とは
太陽光発電は光によって化学反応を起こすため、より多く光に当たり続けることが理想的です。理想的な設置は、方角が真南、角度が30°が最も年間発電量が多いとされています。
この角度は、太陽光の年間推定発電量を計測する際にも用いられている角度です。
ただ、屋根の形や立地、さらには太陽光パネルの反射光によるトラブルもあるため、この通りに設置することは難しいでしょう。
できる限り理想的な設置ができるよう、専門業者との打ち合わせが重要です。
【まとめ】仕組みを理解したら導入して最適化!
太陽光や蓄電池は化学反応によって発電や充放電を行っています。
そのため使い方や設置場所は、より効率良く稼働できるよう気を遣う必要があります。ただ、いくら記事を読んでも専門的でわからないことや理解しにくいこともあるでしょう。
ミライでんちでは、太陽光発電や蓄電池、電気自動車の再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。
太陽光や蓄電池について、疑問に思うことや不安に感じることなど、お気軽にご相談ください。