単機能型蓄電池とは?メリット・デメリット、全負荷・特定負荷についても解説
「単機能型蓄電池とはどのような製品なの?」「うちは太陽光パネルが入ってないけど蓄電池は使えないのかな?」と疑問に思われていませんか?
太陽光パネルが入っていなくても、単機能型蓄電池を導入することで節電対策や停電時の備えが可能です。
【単機能型蓄電池のサマリー】
- 単機能型蓄電池のメリットは「単独でも使用可能」「費用が抑えられる」
- 単機能型蓄電池のデメリットは「大きな蓄電池で場所を取る」
- 単機能型蓄電池がおすすめの人は「太陽光パネルを導入していない」、または「導入後間もないご家庭」
単機能型蓄電池の機能やメリット・デメリットを理解することで、自分の家庭に合うかが分かり、導入するか否か判断する材料になります。最後までご覧ください。
目次
単機能型とは:蓄電池と太陽光パネルのパワコンが分かれていること
単機能型蓄電池は、パワコンが蓄電池専用に独立しているものを指します。
パワコンとは、パワーコンディショナーを省略した用語であり、役割は以下のとおりです。
- 太陽光で発電した電気を、蓄電池に蓄える電気に変換する
- 蓄電池に蓄えた電気を、家庭で使用できる電気に変換する
太陽光パネルを導入しているご家庭は、パネル用のパワコンと蓄電池のパワコンが設置されています。
単機能型蓄電池の機能には全負荷と特定負荷がある
単機能蓄電池には、全負荷と特定負荷の2種類があり、それぞれ機能が異なります。
- 全負荷:停電時に家中どこでも電気が使える機能
- 特定負荷:停電時に電気が使用できる場所が限定できる機能
それぞれ詳しく解説します。
全負荷とは停電してもいつも通り電気が使用できる仕組み
全負荷の特徴は、蓄電池が家中の電気を賄ってくれるため、停電してもいつも通り電気が使用できることです。
家中の電気を賄う分の電気量を溜めなければならないため、蓄電池本体が大きくなります。
家族が多く、電気を使用する部屋数が多い場合は、全負荷型の蓄電池でどこでも電気が使える状態にしておくと便利です。
また、子どもや高齢者がいるご家庭では、災害時に避難が必要となった場合、すぐに動けないことも考えられます。救助がくるまで自宅で安全を確保することを予想して、全負荷型の蓄電池を導入しておくと安心です。
特定負荷とは決まった場所でのみ電気が使用できる仕組み
特定負荷の特徴は、停電時に電気が使用できる場所が限定されていることです。導入時にどこに電気を供給するかは、自分たちで決められます。
例えば、リビングは家族が集まりやすく、停電時に情報を集めるためテレビをつけておけるメリットがあるため、電気を供給する場所として選んでおくとよいでしょう。
その他、どの家電が停電によって電気が止まると困るかを考えて、供給するコンセントの位置や部屋を指定するのがおすすめです。
特定負荷型の蓄電池は、全負荷型と比較すると消費する電気量が少ないため、長時間電気が使えます。停電時に消費電力を抑え、長く電気を使用したい場合は特定負荷型を選びましょう。
単機能型蓄電池の3つのメリット
単機能型蓄電池には、以下の3つのメリットがあります。
- ハイブリッド型と比較すると、機能が少ないことから設置にかかる費用が抑えられる
- 蓄電池単体で使用できる
- 太陽光パネル導入後に蓄電池を設置する場合は、パネルのメーカーと統一しなくてもよい
以下に、それぞれのメリットについて解説していますので、単機能型蓄電池のメリットが自分の家庭に適しているか確認しましょう。
①設置時にかかる費用が抑えられる
蓄電池には、ハイブリッド型と単機能型があり、ハイブリッド型は太陽光パネルと蓄電池のパワコンがひとつになったものを指します。
ハイブリッド型は、太陽光パネルで作った電気と蓄電池に溜められた電気、併せて2つの電気を家庭用に変換する機能を持つことから、単機能型よりも費用が高額です。
しかし、単機能型は蓄電池内の電気を変換するだけであり、機能が単純であることから費用が抑えられています。
太陽光パネルを設置していないご家庭や、費用を抑えたいと考えている人は、単機能型の蓄電池がおすすめです。
②太陽光パネルを使用してなくても設置できる
単機能型蓄電池は、単体で機能するため、太陽光パネルは必要ありません。電気料金が安い時間帯に電気を購入して蓄電池に溜めておき、必要時に使用すれば節電になります。
パネルの設置に抵抗がある人や、立地の都合で効率のよい太陽光発電ができそうにない場合などは、単機能型の蓄電池を導入して節電や停電時に備えられるため、おすすめです。
③太陽光パネルを導入している場合はメーカーを統一せず自由に選べる
太陽光パネルを導入後、新たに蓄電池を設置する場合はそれぞれが独立しているため、パネルのメーカーを気にせず自由に選べます。
「パネルはA社、蓄電池はB社のを使いたい」と希望した場合、パワコンの相性の関係でひとつにできない可能性が考えられます。
蓄電池のメーカーにこだわりたい人は、単機能型蓄電池がおすすめです。
単機能型蓄電池の3つのデメリット
メリットがある一方で、単機能型蓄電池には以下のようなデメリットが挙げられます。
- パワコンを2つ設置することになるためスペースが必要
- 蓄電池が大きくなりやすく外に設置するものは気候の影響を受ける可能性がある
- 太陽光パネルを導入している場合、ハイブリッド型と比較すると電気の変換効率が悪く、電力供給が減少しやすい
デメリットの内容によっては、設置が困難なご家庭もあるかもしれません。デメリットもしっかり確認しておきましょう。
①パワコンの設置スペースを確保しなければならない
太陽光パネルを導入しているご家庭で、蓄電池を追加で設置する場合は、パワコンが2つになるため、スペースの確保が必要です。
パワコンはブレーカーの近くに設置すると、電気効率がよいとされています。パネルと蓄電池2つ分のパワコンを設置するスペースが、ブレーカー周辺にあるかどうか、確認しておきましょう。
②蓄電池の大きさによっては屋外の設置となり、気候や災害による影響を受けやすい
単機能型蓄電池は、製品自体が大きく重たいものが多く、屋外に設置するものがほとんどです。冠水による蓄電池の水没や、地震で屋根や壁の一部が蓄電池に落下するなどして故障することが考えられます。
屋外でも落下物の危険や冠水した場合に水が浸入しない場所を探したり、基礎をしっかり作ったりするなどの対策が必要です。
③太陽光パネルを使用している場合、停電時は電力供給が減少しやすい
太陽光パネルを導入しているご家庭で、単機能型蓄電池を使用している場合、ハイブリッド型と比較すると、蓄電池内の電気を変換するときにロスが発生しやすいです。
ハイブリッド型は1回の変換で電気が使用できるのに対し、単機能型は2回の変換が必要なことから、電気ロスが大きいといえるでしょう。そのため、停電時には電力供給量が減少しやすくなります。
単機能型蓄電池をおすすめする3つのパターン
単機能型蓄電池は、以下のようなパターンに当てはまる人におすすめです。
- 蓄電池を設置するときの費用を抑えたい人
- 太陽光パネルを設置しておらず今後も予定はないが、節電や災害時に備えて蓄電池を導入したいと考えている人
- 太陽光パネルを取り付けて10年以内で比較的新しい場合
おすすめする理由を解説しますので、自分の状況に近いものがあるか確認しましょう。
①購入費用を抑えたい人
ハイブリッド型と比較すると、単機能型の蓄電池は費用が抑えられます。蓄電池を製造している大手メーカーの蓄電池の価格は以下のとおりです。
メーカー | 単機能型の価格 | ハイブリッド型の価格 |
---|---|---|
オムロン(容量16.4kWh) | 530万円 | 592万円 |
ニチコン(容量12kWh) | 370万円 | 420万円 |
長州産業(容量16.4kWh) | 約624万円 | 約698万円 |
パナソニック | 約159万円(容量3.5kWh) | 約313万円(容量6.3kWh) |
シャープ | – | 約450万円(容量9.5kWh) |
単機能型のほうが価格が低いメーカーがほとんどであり、初期費用が抑えられるといえます。
②太陽光パネルを設置していない場合
太陽光パネルを設置しておらず、今後も導入の予定がない場合は単機能型がおすすめです。
ハイブリッド型は、太陽光パネルと蓄電池の電気を変換時にロスを少なくするメリットがあります。しかし、蓄電池を単独で使用する場合においては、単機能型で十分機能します。
電気料金の安い時間帯に、電気を購入して蓄電池に溜めておき、停電時や電気料金が高い時間帯に使用して節電対策などに利用できます。
③太陽光パネルを設置して10年未満の場合
太陽光パネルを設置して年数が浅い時期に、追加で蓄電池を導入する場合は単機能型をおすすめします。
蓄電池を追加する場合、パワコンの交換が必要になるため費用が高くなるためです。
単機能型蓄電池を導入すれば、太陽光パネル設備の変更はしなくて済むため、単機能型を選ぶと費用が抑えられます。
ただし、パワコンの設置スペースが必要なことを覚えておきましょう。
単機能型蓄電池でよくある質問
単機能型蓄電池に関して、よく聞かれる質問について詳しく解説します。
単機能型とハイブリッドの違いは何ですか?
単機能型蓄電池は、単独で使用できる蓄電池を指します。太陽光パネルを導入していないご家庭でも、節電や停電対策に取り入れやすいのが最大の特徴です。
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光パネルで作られた電気を変換して蓄電池に溜める機能と、家庭用電気に変換して供給する機能を一体化させた蓄電池を指します。
発電した電気は、変換したものを各家電に供給しますが、変換するたびにロスが生じます。パネルで発電した電気を蓄電池に溜める変換と、蓄電池に溜めた電気を各家電に供給する変換の2回が必要です。
ハイブリッド型は、2回の変換を1回に抑え電気のロスを軽減するため、電気効率がよいとされています。
単機能型蓄電池のメーカーでおすすめはどこですか?
オムロン、ニチコン、長州産業、パナソニック、シャープなどがおすすめです。
シャープは、太陽光パネルを導入してから時間差で蓄電池を入れたい人向けに、後付けでもパワコン1つで済む製品を販売しています。
太陽光パネルと蓄電池を導入したいが、初期費用がかかるため、後から蓄電池を入れたいと考えている人には最適なメーカーといえるでしょう。
まとめ:単機能型蓄電池は費用を抑えたい人や単独使用におすすめ
単機能型蓄電池の機能やメリット・デメリットについて解説してきました。
あらためておさらいをすると、以下のとおりです。
- 単機能型蓄電池は太陽光パネルがなくても単独で使用できる
- 電気料金が安い時間帯に蓄電池に電気を購入して溜めておくことで節電対策や停電時の備えとして使用できる
- 蓄電池には単機能型とハイブリッド型があり、単機能型のほうが費用を抑えて取りつけられる
- 太陽光パネルのない人や、取り付けて10年以内の人、費用を抑えたい人には単機能型蓄電池がおすすめ
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