電気の規制料金(経過措置料金)プランとは?いつまで続くのかと自由料金との違いについても解説
止まらない物価高騰に追い打ちをかけるかの如く電気料金が値上がりしていることに、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
特に、電気料金の高騰は目を見張るものがあります。このことについて詳しく知らないと、規制料金や自由料金、従量電灯などの言葉に戸惑うこともあるかもしれません。
そこで今回は、電気の規制料金(経過措置料金)プランとは?いつまで続くのか、そして自由料金との違いは?といった内容について分かりやすく解説します。
この記事を読んで電気料金について詳しく理解し、自分に適したプランを選ぶことができるようになりましょう!
目次
規制料金(経過措置料金)とは
ここではまず、規制料金(経過措置料金)プランとは何か?について解説します。
概略として規制料金は電力自由化以前から存在する「古いタイプの料金形態」であり、消費者保護されたプランです。以下の表のとおり東京電力、北海道電力、九州電力など大手各社がかつてメインで提供し、現在に至るまで適用可能となっているプランです。
規制料金プランを持つ電力会社 | 管轄エリアの都道府県 |
北海道電力 | 北海道 |
東北電力 | 青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県(新潟県一部地域) |
東京電力 | 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・富士川以東の静岡県 |
中部電力 | 新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県(一部地域を除く)・富士川以西の静岡県・愛知県・三重県(一部地域を除く) |
北陸電力 | 福井県・富山県・石川県・岐阜県(一部地域) |
関西電力 | 大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県・三重県(一部地域)・岐阜県(一部地域)・福井県(一部地域) |
中国電力 | 鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 |
四国電力 | 徳島県・香川県・愛媛県・高知県 |
九州電力 | 福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県 |
沖縄電力 | 沖縄県 |
電力自由化以前から存在するプラン
規制料金は、東京電力をはじめとする旧一般電気事業者によって2016年4月の電力自由化以前から提供されている電気料金プランです。
それまでは電気料金が電気事業法に基づき規制されていたため、一般家庭向けの規制料金は「従量電灯」が主流でした。
ちなみに規制料金は総括原価方式により、電気を安定的に供給するために必要な費用に利益を加えた額が料金となっていました。
一方、電力自由化後は、このあと詳しくご紹介しますが小売事業者が自由に料金を定めることができるようになりました。(規制料金の様に、法令に基づく料金上限等もありません)
消費者保護されたプラン
そもそも規制料金は法的な制限が設けられており、値上げなどの料金改定を行うには経済産業大臣の認可が必要です。
これは、消費者が高額な料金に対して不利な影響を受けないように保護されるべきという国の判断によるものです。
元々は電力自由化に伴い規制料金は廃止されるべきものでしたが、背景として当時、電気料金が高騰したため、消費者が払う負担を軽減するためにこの料金が継続されてきた、というものがあります。
よって、この規制料金は「経過措置料金」とも呼ばれるのです。
自由料金とは
規制料金に対して自由料金とは、電力自由化以降に導入された新しい電気料金プランであり、消費者により自由に選択することができるプランです。
詳しく説明していきます。
新電力と呼ばれる自由なプラン
自由料金は、しばしば「新電力」と呼ばれることもあります。
これは、電力自由化に伴って多くの電力会社から多様なプランが提供されるようになったことで、以前にない新しい電力プランとして位置づけられるためです。
電力の自由化によって企業の参入が増えている
元々電力自由化前は各地の電力会社のみが電力供給に関連する事業を行うことができました。
他方、電力自由化にともない企業の参入が増加し、競争が活発化しています。
これにより、新しいプランやサービスが提供され、消費者にとっても選択肢が増えるとともに、競争により料金も低くなっていると考えられます。
規制料金と自由料金の違い
「規制料金」と「自由料金」の違いは、前者は日本政府(関係省庁・大臣)からの許可なしに変更や値上げができないといった面で法的に制限・消費者保護がなされているのに対して、後者は電力会社が独自の裁量で変更や調整ができるという点があります。
また各種情勢の変化によって、自由料金は規制料金よりも高くなることがあり、時には大幅な値上げなどを含め、予想とは逆の動きをすることもあります。
家計を預かる側からすれば、電力会社が自由に料金を変更する可能性があるため、自由料金プランは規制料金プランよりも高くなる可能性があること、そして自分で料金の変更を選ぶことができる、ということは覚えておいて損はないでしょう。
規制料金のメリット
では、そんな規制料金にはどういったメリットがあるのでしょうか。
値上げに対し上限設定されているため安定している
規制料金はそもそも、電力会社がサービスを値上げする際に法令に基づく上限が設定されていますし、認可も必要です。
これにより急に料金が変動する心配も少なく、電力価格の大きな変動を避け、安定した電気料金で推移することができます。
新電力の会社選びに悩む必要がない
規制料金を設定しているのは旧一般電気事業者と呼ばれる従来から使われてきた電力会社です。
よって規制料金を使い続けることは新電力の会社選びに悩む必要がない、ということにもなります。
規制料金のデメリット
規制料金にもデメリットがありますので、いくつか主だったものをご紹介していきます。
自由料金に比べ付加価値となるサービスがない
規制料金の利用者には、自由料金を利用している場合に提供される付加価値のあるサービスが提供されません。
一方で、自由料金を利用する場合は、サービスの多様性や柔軟な電力使用プランが利用できるため、付加価値を得ることができます。
自由料金より高くなる可能性もある
規制料金は値上げについて経済産業大臣の認可を得る必要があったり、電気事業法に基づく値上げ幅の規制があります。
一方、今後の値上げ申請などによって自由料金よりもかえって高い料金が設定されてしまうケースも十分に懸念すべきです。
規制料金はいつまで続くのか
では、規制料金はいつまで続くのでしょうか。
規制料金はいずれ撤廃予定だが、まだ撤廃されていない
そもそも規制料金は「2016年4月の電力自由化以前から提供されつづけている電気料金プランのこと」と先ほど解説しましたが、もともとは規制料金の廃止は既定路線でもありました。
しかし市場の競争や消費者保護などの種々の要素からその廃止は一旦見送られているのが現在の状況です。
それでも規制料金は2020年3月末に廃止される予定でしたが、2023年の規制料金値上げ申請が行われていることを考えると、今後もこの規制料金プランは数年単位で継続していく可能性があります。
よって、まだ撤廃されることはないと見てよいでしょう。
【2023年最新】規制料金は値上げされる可能性が高い
既にテレビのニュース等でも報道されていますが、2023年から家庭電気料金(規制料金)が値上げされる可能性が高いということです。
大手電力会社が値上げ申請している
以下の表は、大手電力会社各社が経済産業大臣に申請している規制料金の値上げ幅と時期をまとめたものです。(※値上げ幅は全て平均値)
電力会社 | 値上げ幅 | 時期 |
東京電力エナジーパートナー | 29.31% | 2023年6月1日から |
北海道電力 | 32.17% | 2023年6月1日から |
東北電力 | 32.94% | 2023年春から |
北陸電力 | 45.84% | 2023年4月から |
中国電力 | 31.33% | 2023年4月から |
四国電力 | 28.08% | 2023年4月1日から |
沖縄電力 | 39.3% | 2023年4月から |
上図のとおり大手電力会社各社が2023年春から初夏にかけて規制料金の値上げを経済産業大臣に申請しているため、今後の規制料金の値上げはほぼ確実だと考えられます。
上記の表によれば、東京電力エナジーパートナーが平均29.31%値上げ、北海道電力が32.17%値上げ、東北電力が32.94%値上げ、北陸電力が45.84%値上げ、中国電力が31.33%値上げ、四国電力が28.08%の値上げ、沖縄電力が39.3%値上げと大幅な値上げが申請されていることが分かります。
これらの規制料金の値上げが承認されることで、規制料金は上昇傾向にあると考えられます。
太陽光発電と蓄電池で今から値上げ対策をしよう
そこで考えておきたいのはやはり、「今後」のことです。
今から値上げ対策をすることをお勧めします。
すでに多くのご家庭が「電気を買うのが高いなら自家発電」と考え、太陽光発電等の導入を検討されています。
例えば太陽光発電や蓄電池を導入することで、自宅で発電したり、発電した電力を蓄電池に貯めておくことが可能です。
こうすることで日照時間以外の時間帯でも、日中太陽光から発電した電力で自宅の電力需給をまかなえるだけの電力を得ることもできます。
このような方法で、2023年から始まることがほぼ確実視されている規制料金値上げに対応していくのが令和5年の新たな家計術といって良いでしょう。
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