お役立ちコラム

更新日:2024年5月20日

蓄電池の出力・容量とは?最適なスペックの選び方について解説

蓄電池について

蓄電池を選ぶ際に重要なのが容量と出力です。容量は蓄電池にためておける電気量をいい、出力は蓄電池が一度に吐き出せる電気量をいいます。

しかし、普段使っている電化製品がどれくらいの電気を使っているのか、自分の家にどれくらいの容量が必要なのか判断が難しいですよね。

本記事でお伝えしたい要点は以下になります。

【蓄電池の容量・出力についてのサマリー】
・蓄電池の容量には、定格容量に付随する初期実効容量がある
・家電の消費電力を計算して適正な出力を概算する
・太陽光をセットで導入すれば蓄電池の容量を小さくできる

蓄電池の初期費用を抑えたい方・導入後に後悔や失敗したくないと感じる方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

蓄電池の定格容量・定格出力とは

蓄電池は容量に応じて定格容量と定格出力が決められています。

定格容量(kWh)満充電された状態から取り出せる電気量のこと
定格出力(kW)定格容量に最適な出力

電気は目に見えませんが、性質は水に似ているところが多いため、よく水に例えて解説されています。容量と出力は水槽タンクをイメージしてみるとわかりやすいです。

容量はタンクの大きさで入れられる水の量であり、出力は蛇口から一定の勢いで出てくる水圧といった具合です。

それぞれ詳しく解説していきます。

定格容量

定格容量で使われている単位のkWh(キロワットアワー)は1時間あたりに使用できる電気量です。

例えば10kWhの蓄電池があった場合、1時間で10kW使用できる、または1時間あたり1kWの出力を10時間使えるといったように、容量が大きければ使える電気量も多く、長い時間運転が可能です。

しかし、蓄電池の容量が10kWhと記載されているからといって、10kWhを使い切ることはできません。なぜなら、初期実効容量が設定されているからです。

初期実効容量とは、実際に使用できる蓄電池容量です。容量に対して平均1kWh減らした値が設定されています。

実際に蓄電池を選ぶ際には、初期実効容量も確認しておきましょう。

定格出力

定格出力は蓄電池が放出できる電気量です。例えば定格出力が5kWの場合、家電や照明などの消費電力量は合計で5kWまで使用できます。

以下の表をご覧ください。

エアコン600W
冷蔵庫300W
テレビ300W
LED照明10W
掃除機500W
電子レンジ1000W
電気ポット800W
IHクッキングヒーター2000W
合計5.5kW

これは各家電の消費電力を記載し、合計を算出したものです。(※メーカーやサイズによって変動あり)表に記載のある家電を同時に使用してしまうと、蓄電池の定格出力をオーバーしてしまうため「アンペアブレーカー」と呼ばれるブレーカーが作動し、蓄電池からの供給が止まってしまいます。

「蓄電池のブレーカーがすぐに落ちて困ってる」という声があがったりしますが、原因のほとんどが定格出力を把握していないことによる電気の使いすぎです。

蓄電池を選ぶ際には、普段から使用している電力量と蓄電池の定格出力を照らし合わせましょう。

 

生活における電力容量・出力はどれくらい必要か?

住宅で使われている電気量を調べる場合は、最大消費電力と平均消費電力量を算出しましょう。最大消費電力とは、1日の中で一番電気が使われているときの消費電力です。

夕飯の支度や子供たちのテレビやゲーム、お風呂上がりのドライヤーや給湯器など、複数の家電製品が同時に使用された際の電力量を測定しましょう。

参考として、全国の一世帯が1日で使用する電力量は約12kWhというデータがあります。このデータに基づくと、初期実効容量が12kWhあれば丸一日蓄電池だけでまかなえるとわかります。

 

【シミュレーション】蓄電池の蓄電池容量計算式

蓄電池に必要な容量は以下の計算式で大まかに算出できます。

「使用する電化製品の出力(W)×時間(時間)=必要な電力量(kWh)」

また、以下の表に主要な家電製品の消費電力を記載しました。

エアコン600W電子レンジ1000W
冷蔵庫300W電気ポット800W
テレビ300WIHクッキングヒーター2000W
LED照明10W温水洗浄便座50W
掃除機500Wエコキュート1200W
洗濯機400Wドライヤー1200W
炊飯器(炊飯時)1300W電気ストーブ1000W
ヒーター1000W蓄熱暖房器4000W

※メーカーやサイズによって消費電力の前後あり。

上記の家電の消費電力を参考に計算していきます。

計算式に含まれている「時間」は、連続使用されている状態が該当するため、洗濯機やドライヤーなど短い時間で電源が切れる製品は、照明やエアコンなど長時間運転するものと同じ計算をしないよう注意してください。

簡易的に試算したものを以下に用意したので、参考にしてください。

使用する電化製品の出力(W)×時間(h)必要な電力量(kWh)
エアコン(600W)×12時間7.2
温水洗浄便座(50W)×24時間1.2
冷蔵庫(300W)×24時間7.2
LED照明2つ(20W)×7時間0.15
炊飯器(1000W)×1時間1
IHクッキングヒーター(2000W)×1時間2
合計18.75

※省エネ家電や出力設定によって大幅に変動するので、あくまで概算です。

このようにエアコンをつけっぱなしにし続けなければいけない季節であれば、より多くの電気を使っていることがわかります。

常に稼働し続けている冷蔵庫や温水洗浄便座などの消費電力量は、1日の消費電力の大半になるため、蓄電池の容量を決めるうえで重要な材料です。主要な家電の消費電力量を把握しておくと適切な容量を選べるでしょう。

 

蓄電池の出力・容量の選び方

蓄電池の出力や容量を決める際には以下のポイントが重要です。

  • 太陽光との連携を考えているか
  • 蓄電池のみの設置か
  • 最大消費電力量はどれくらいか

家庭用蓄電池の最大容量は17.76kWhです。そのため、1日の消費電力量がこの容量を上回る場合は太陽光が発電する電気を使用するか買電する必要があります。

太陽光発電をセットで取り付けるのであれば、日中の電気は太陽光が発電した電気でまかなえる可能性があるため、18:00〜6:00の間で使用する電気量の容量で十分な場合もあります。

容量の大きさによって最大出力も異なるので、蓄電池を選ぶ前に事前調査や専門事業者との相談をおすすめします。

100V対応と200V対応どちらがよいか

蓄電池が出力できる電圧が100Vのみ対応と100/200V対応の2タイプがあります。選ぶ際には使用している家電の中に200Vの家電があるかどうかを確認してください。

一般的な家電や電化製品は100Vの製品が多いですが、近年はエアコンや冷蔵庫、蓄熱暖房器、給湯器などで200V必要な機種が出てきています。

将来的にオール電化やIHクッキングヒーターなどの設置を考えている方は100/200V対応型の選択をおすすめします。

太陽光発電の余剰電力をどうしたいか

太陽光発電は日光があたっている時間なら常に発電を続けています。そのため、消費する電気より多く発電された電気は、使われずに放電されてしまいます。

その余剰電力を蓄電池に貯めるか電力会社へ売電するか、そのどちらを目的とするかによって容量を小さくし初期費用の削減が可能です。

しかし、最新型のパワコンでは発電した余剰分を売電と蓄電に効率よく管理してくれる機種もあるため、見積もり段階で専門事業者へ相談してみましょう。

災害時(停電)に備えたいなら電力量をチェックする

熊本地震や胆振東部地震では多くの世帯が停電し、復旧までに多くの時間がかかりました。近年では台風や線状降水帯などによる災害も頻発しているため、災害時の備えは各家庭にとって重要なものです。

容量が大きくなれば機種の価格が大きくなるため、最低でも丸一日電気を使える容量を選ぶといいでしょう。

電力量は契約している電気料金を支払う会社から送付される、電気料金の見積もりを使えば簡単に算出できます。

太陽光の設置を考えている方でも、悪天候や積雪によって発電されない場合の考慮が必要です。

 

蓄電池の出力・容量に関するよくある質問

蓄電池の出力・容量を選ぶ時に多い質問をご紹介します。

  • 4人家族の場合はどのくらいの容量・出力が必要?
  • アンペアアワー(Ah)ワットアワー(Wh)の違いは?
  • 蓄電池における出力制御ってなに?

多くの方が共通する悩みですので、ぜひ参考にしてください。

4人家族の場合はどのくらいの容量・出力が必要?

4人家族の場合は10kWhの容量があれば1日まかなえると言われています。しかし、上記のシュミレーションでもあるように、猛暑が続く夏季や暖房が必要な冬季は1日あたりの消費電気量が増加しやすいです。

太陽光発電や電力会社からの売電を活用できるようにすれば、5kWh〜7kWhの容量で生活している方もいるため、他の記事を参考に蓄電池についての知識を身につけましょう。

アンペアアワー(Ah)ワットアワー(Wh)の違いは?

アンペアアワー(Ah)とワットアワー(Wh)は、電力の量を示す単位ですが、それぞれ意味が異なります。

Ahは電流の流れる量を時間で表したもので、バッテリーの容量を示すときによく用いられます。

一方、Whは電力の消費量を時間で表したもので、電力供給能力を示すために使用されます。つまり、Ahは「いくつの電流をどれだけの時間供給できるか」Whは「いくらの電力をどれだけの時間供給できるか」を示す単位と考えるといいでしょう。

蓄電池における出力制御ってなに?

蓄電池における出力制御とは、蓄電池からの電力供給量を調整する機能を指します。これにより、消費電力量と蓄電池からの出力を最適化し、電力の過不足を避けられます。

例えば、電力消費が低い時間帯には出力を抑え、電力消費が高い時間帯には出力を増やすといった調整が可能です。これにより電力供給の効率を高め、安定性を高めた電力供給に繋がります。

 

【まとめ】蓄電池の出力・容量は各家庭に合ったものを選ぼう!

蓄電池の出力・容量を選ぶポイントは以下の通りです。

  • ご家庭で使われている電気量を調べる
  • 蓄電池の出力・容量が生活に最適かどうか
  • 太陽光発電とセットで導入するか
  • 現在使っている家電に200Vの製品はないか
  • オール電化を検討しているか
  • 災害時の停電を何日で想定しているか

各家庭によって、電化製品の種類や数、生活リズムなどが異なるため、他の家庭を参考にするのは難しい場合が多いです。

蓄電池や太陽光は導入費用が高額なため、事前の想定が特に重要であり、自分だけで決めるには情報が不足する可能性があります。
ミライでんちはこれまでに数多くの蓄電池の設置実績がございます。導入を考えるお客様からヒアリングし、最適な容量選びをお手伝いします。まずは無料相談をご利用ください。

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