お役立ちコラム

更新日:2023年10月26日

【プロが解説】蓄電池の仕組みや内部構造を紹介|太陽光の連携・充放電も

蓄電池について

蓄電池に限らず電池は、精密に設計されさまざまな化学反応を利用して作られています。しかし「そもそもなんで電気が生まれるかわからない」「仕組みがわからないものを家に置けない」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では以下について解説しています。

【本記事のサマリー】

  • 蓄電池が充放電するときの分子の動きは?
  • 蓄電池の材質が充放電の速さや出力を左右する
  • 仕組みを知れば蓄電池を効率よく使える理由がわかる!

この記事では近年急速に普及しているリチウムイオン電池を中心に解説しています。リチウムイオン電池はスマホやPCのバッテリーとしても使われているので、非常に身近なバッテリーです。

ぜひこの記事を読んで蓄電池の仕組みに触れてみましょう!

蓄電池の仕組みを図で解説

蓄電池の内部は以下の画像のような構造になっています。今回は家庭用蓄電池のなかで一般的となったリチウムイオン電池をもとに解説していきます。鉛蓄電池の場合は構造や理屈が異なるので、以下の情報と混合しないように注意しましょう。

蓄電池の仕組み

図にあるリチウムイオンは『正』の性質を持っています。普段使用される電気は、マイナスの『電子』の集合体であるため、正の性質をもつリチウムイオンにくっつく特性があります。

マイナスの電子を蓄えたリチウムイオンが、セパレータを通る際に電子を落としていき、自由電子となった電子が電極を伝って電路に流れていくという仕組みです。

そのため、電気の流れとリチウムイオンの動きは真逆に働きます。上記を要約すると以下のプロセスになります。

  1. 充電する際には、リチウムイオンが正極に集まっている
  2. 負極に流れてくる電子を求めて、リチウムイオンは負極へ
  3. 負極にてリチウムイオンは電子を蓄える
  4. 放電時には電子を離し正極へ
  5. 負極にて自由電子となった電子は電線に流れていく

このようにして蓄電池は充放電を繰り返しています。

太陽光がある場合の図

太陽光パネルが電気を発電する仕組みについては以下の記事をご覧ください。

ここでは、太陽光と蓄電池がどのように接続されているかを解説します。以下の画像は、ハイブリッド型蓄電池と太陽光の電気の流れを表したものです。

太陽光パネルが電気を発電する仕組み

太陽光発電システムや蓄電池システムにとっての肝はパワーコンディショナー(パワコン)と呼ばれる制御装置です。

太陽光で発電された電気は、直流にてパワコンまで流れていきます。蓄電池が蓄えられる電気は直流でなければならないので、そのまま蓄電池へ直流で流れていき充電されます。

蓄電池の電気を使う際には、パワコンにて家庭用家電が対応している交流に変換され、室内灯やテレビを使えるようになるという仕組みです。

これらのシステムをしっかりと理解したいとお考えであれば、以下のパワーコンディショナーについて解説した記事を参考にしてください。

蓄電池・太陽光システムで使用されている機器は?

太陽光システムでは、以下の機器が使用されています。

  • 太陽光パネル
  • パワーコンディショナー
  • 太陽光発電用分電盤
  • ブレーカー

蓄電池も同様に、パワーコンディショナーや分電盤が設置されます。ここでのポイントとしては、蓄電池システムと太陽光システムを連携させると何が変わるのかという点です。

太陽光または蓄電池システムを単体で設置する場合、パワーコンディショナーは『単機能型』という1つのシステムを制御するタイプが使われます。

対して、太陽光と蓄電池を複合する場合は『ハイブリッド型』という2つのシステムを管理できるパワーコンディショナーが理想的です。さらに、電気自動車も加えた3つのシステムを管理できる『トライブリッド型』も存在します。

このように、設置するシステムによって最適なパワーコンディショナーは変化します。パワーコンディショナーの能力によって、運転効率が変わると言っても過言ではありません。

蓄電池の構造

先ほど蓄電池の仕組みを図で解説にて簡易的ではありますが、化学反応と電子や分子の動きについて解説しました。そこでこの項では以下の蓄電池に使用されている材質について解説します。

  1. 2つの電極|プラスとマイナス
  2. 電解液とは?電子が動きやすく留まれる空間
  3. リチウム・鉛・ニッケル水素・NAS電池の違い

蓄電池は種類が違っても大まかな構造は一緒です。蓄電池の仕組みを理解したい方は続きをご覧ください。

①2つの電極|プラスとマイナス

蓄電池内には正極(プラス極)と負極(マイナス極)があります。電気を起こすにはこの電極と化学反応が必要となり、プラスからマイナス極へ電子が移動した際に電気エネルギーが発生しています。

電子とは、原子や分子の周囲を回っているものです。地球と月に例えると原子が地球で電子が月のイメージで例えられることが多いです。

化学反応によって原子の周囲にある電子を、自由電子とすることで電気が発生します。普段何気なく使っている電気は、電子の集合体とも言えます。

リチウムイオン電池の場合は、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛という物質を使用しています。

②電解液とは?電子が動きやすく留まれる空間

電解液は電子の動きを指定したり、高速に移動できるようにしたりする役割があり、リチウムイオン電池には有機電解液と呼ばれる電解液が使用されています。

近年、急速充電といった製品が出ているのはリチウムイオン電池と電解液の進歩によるものです。

ただ、これだけ普及しているリチウムイオン電池は、リアルタイムの稼働を観測できておらず、全てのメカニズムは解明できていないのだそうです。(特に劣化について)

例えば、スマホにもリチウムイオン電池が使われていますが、徐々にではなく突然バッテリーの持ちが悪くなったという事例が該当します。

蓄電池にも寿命がありますが、その幅は10〜15年と幅広く、この解明されていない現象が関係しているのかもしれません。

③リチウム・鉛・ニッケル水素・NAS電池の違い

近年身近に普及しているバッテリーや蓄電池は、リチウムイオン電池と鉛蓄電池が一般的ですが、蓄電池にはさまざまな種類があります。この項では4種類の蓄電池と特性をご紹介しますので、以下の表をご覧ください。

リチウムイオンニッケル水素NAS
寿命10〜15年5年5〜7年15年(期待寿命)
価格高め安価高めkW単価であればこの中で最安値
特徴急速充電起電力が大きい環境に左右されにくい鉛蓄電池の3分の1サイズ
用途スマホ家庭用蓄電池車家庭用蓄電池電動工具ドライブレコーダー工場などの産業蓄電池

特に注目を集めているのはNAS蓄電池です。これは日本ガイシという会社が開発した蓄電池で、変電所や工場などの大規模な電気を必要とする場所に普及しています。

電気効率の高さや寿命の長さ、価格を考えると今後家庭用に普及してくる可能性も考えられますが、現在は急速充電や寿命の長さ、扱いやすさからリチウムイオン蓄電池が普及しています。

電気を知れば蓄電池の仕組みがよりわかる!

蓄電池は電気設備ですので、電気についての理解を高めると、より仕組みがわかりやすくなります。今回は蓄電池に関連した電気の用語を解説します。

電圧電気の勢いのこと。一般家庭では100/200(V)が加圧されている。
直流真っ直ぐにしか流れない電流のこと。電池製品が+とーを間違えると動かないのはこの性質のため。
交流状況によって電気の向きを変えられる電流のこと。コンセントに+とーがないのはこの性質のため。
kWhkWの出力を1時間で換算した単位。電気代の算出や継続して稼働する製品に用いられる。

蓄電池や太陽光パネルが直流対応なのは、電気の流れが勝手に変わってしまわないためです。反対に、よく使われる電気が交流なのは、複数の家電を使った場合に電圧が下がらないようにする目的もあります。

蓄電池が何度も充放電できる理由

蓄電池が何度も充放電を行えるのは、蓄電池内部の化学反応により電気の流れを変えるだけで電子を蓄えられる構造だからです。

しかし、永遠に充放電できるわけでもなく、1つの電池だけで大容量を生み出せるわけではありません。そこでこの項では以下について解説しています。

  1. 蓄電池の容量が違うとセル数が違う
  2. 蓄電池の寿命は8,000~12,000サイクル

家庭用蓄電池はなぜ容量が大きいのか、また寿命を算出するためのサイクルとは何か、気になる方はぜひご覧ください。

①蓄電池の容量が違うとセル数が違う

「セル」は、蓄電池内部に配置されている小さな電池単位のことを指します。各セルは電極と電解液によって構成され、一定の電圧と容量を持っているため、複数のセルを組み合わせることで、全体としての蓄電池の容量が決まります。

したがって、同じ種類のセルを使用している場合、全体の蓄電池の容量が大きいほど、その内部にはより多くのセルが組み込まれている、という意味になります。

ただし、蓄電池の設計は様々で、同じ容量の蓄電池でもセルの数や形状、配置などが異なる場合があります。

②蓄電池の寿命は8,000~12,000サイクル

ここで言う「サイクル」とは、蓄電池が一度完全に充電されてから完全に放電されるまでの一連の過程を指します。つまり、「8,000〜12,000サイクル」とは、その蓄電池が8,000〜12,000回の充放電サイクルができる、ということです。

12,000回が寿命の蓄電池が一日1サイクルで稼働し続けたとすると、蓄電池の寿命は約32年という計算になるので、サイクルによる寿命の計算は現実的ではありません。

蓄電池の寿命はその使用状況や管理状態に大きく影響されます。例えば、一度に完全に放電せず、部分的に放電して再充電する部分放電は、蓄電池にとっては1サイクルとカウントされません。

そのため、部分放電を行うことで実際の使用期間を延ばすことができます。

また、蓄電池は一般的に高温や低温に弱く、そのような環境下では性能が低下し、寿命も短くなります。適切な温度管理を行うことも蓄電池の寿命を延ばすための重要な要素です。

蓄電池に備わっているSOC下限・充電時間・放電時間とは

SOC(State of Charge)は蓄電池の充電レベルをパーセンテージで示すもので、SOC下限は安全に放電可能な最低限のレベルをいいます。

SOC下限を超えて放電すると電池の性能が低下し、寿命が短縮する可能性があるため、リチウムイオン電池のSOC下限は20%〜30%程度が一般的です。

また、充電時間は完全放電状態から最大容量まで充電する時間で、放電時間は完全充電状態からSOC下限まで放電する時間をいいます。

これらの要素を理解し、適切に管理できれば蓄電池の寿命と性能を限りなく発揮させられるようになります。

蓄電池を最も効率よく利用する方法

蓄電池を効率よく運用していくには、以下のポイントが重要です。

  • 充電・放電時間を決める
  • 太陽光の過剰分を充電する
  • 太陽光も設置するならパワコンはハイブリッド型
  • 天気が悪い・日中充電しきれない場合は深夜電力で充電

蓄電池を効率的に活用できれば、電気代を安く抑えられる以外にも、蓄電池の寿命を延ばし、電池ユニットの交換を遅らせられます。

初期費用が高いものなので、長く使い続けられるよう長期的な目線で運用していくことが重要です。

まとめ:蓄電池を効率よく使って電気代大幅節約!

蓄電池内では化学反応により電子や分子を活発に動かし、充電や放電を行っています。蓄電池の寿命とは、化学反応の停止や劣化などが考慮され、多数の実用実験から算出されています。

このことから、蓄電池は運用方法によって一般的に言われている寿命を大幅に超えることも可能であり、仕組みを理解する必要性があるとわかるでしょう。

この記事を読んで、蓄電池の仕組みについて詳しくなったあなたは、効率的に蓄電池を運用する知識・理解が深まっています。

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