オフグリッド生活は蓄電池&ソーラーで実現可能?メリットやデメリットも解説!
近年、電気代高騰や災害時の対策、環境問題への配慮を背景にオフグリッドに注目が集まっています。
しかし、オフグリッドという言葉を聞いたことがあっても、その詳細について知らない方も多いのではないでしょうか?
また、オフグリッド導入を検討しており、実践方法を知りたい方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、オフグリッドについて詳しく解説したうえで、オフグリッド生活を実現する方法を紹介します。
オフグリッドについて気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
オフグリッド生活とは何かを解説
最近耳にする機会の多いオフグリッドとは、一体どのようなものなのでしょうか?
ここでは、オフグリッドの概要や注目される理由、身近なオフグリッドの活用例を解説します。
そもそもオフグリッドとは
オフグリッドとは、電力会社の送電網に接続されていない状態を指す言葉です。
オフ(off)は接続状態がオフであることを指し、グリッド(grid)は送電網を意味するのでオフグリッドと呼ばれます。
オフグリッドが注目される理由
近年オフグリッドへ注目が集まっているのは、脱炭素社会の実現に向けて社会的な流れが強まっているためです。
地球温暖化などの環境問題への意識の高まりを背景に、環境省は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、カーボンニュートラルを宣言しています。
そのための手段の一つとしてオフグリッドが関心を集めています。
身の回りのオフグリッドの活用例
オフグリッドは以下のような箇所で、身近でも使用されています。
導入箇所 | オフグリッドが活用されている理由 |
道路標識の電光掲示板や街灯 | 停電時も動作するようオフグリッドになっている。 |
災害時に活躍する特殊車両 | 同様に緊急時も動作できるようオフグリッドになっている。 |
山小屋や離島 | 電力供給が不十分な場合に、オフグリッドが活用される。 |
防犯カメラや測定機器 | 屋外など電源が取りにくい場所にある際に、オフグリッドが採用されることがある。 |
このように、電力供給が不安定になりがちな場面を中心に、さまざまな場面でオフグリッドは活用されています。
オフグリッドの3つのメリット
オフグリッドの導入には大きく分けて3つのメリットがあります。ここでは、以下の3つのメリットを詳しく解説していきます。
- 電気料金を抑えられる
- 環境に配慮できる
- 停電など緊急時に対応できる
電気料金を抑えられる
オフグリッド導入の1つ目のメリットは、電気料金を低く抑えられることです。
電力会社から購入する電力が減るため、その分当然電気代が安くなります。
そのため、一般家庭での電気代節約のためにオフグリッドを検討するケースも増えています。
環境に配慮できる
2つめのメリットは、オフグリッドによって火力発電で作られた電気の使用量が減り、環境に配慮できる点です。
火力発電の際には石油や天然ガスを燃やすため、大量の二酸化炭素を排出する点が問題視されています。
一方で、オフグリッドは太陽光などの再生可能エネルギーで発電するので、環境に負担がかかる心配がありません。
また、電気使用のために有限な資源である化石燃料を消費しない点も、オフグリッドが環境に優しいといえる点です。
停電など緊急時に対応できる
3つめのオフグリッドのメリットは、災害などで停電した場合にも対応できる点です。
自家発電できるため、電力会社からの電力供給が止まってもまったく影響を受けないからです。
停電は台風や火災、地震等の影響でいつでも起こる可能性があります。
状況によっては復旧に時間がかかることもありますが、そんなときでもオフグリッドであれば蓄電池に備蓄した電気を使えます。
オフグリッドの3つのデメリット
オフグリッドにはメリットがある一方、デメリットも存在します。
ここからは、以下の3つのデメリットについて説明していきます。
- 天候によって電気の使用量が変動する
- 電気使用量の多い家電は使えない恐れがある
- 設備代やメンテナンス代がかかる
天候によって電気の使用量が変動する
オフグリッドのデメリットの1つめは、発電できる電力量がその日の天気に左右される点です。
オフグリッド環境の発電手段は太陽光発電なので、晴れた日は大量の電気を発電できる一方、天気が悪いときは目に見えて発電量が落ちます。
そのため、梅雨の時期など満足に発電ができないときには、蓄電池の電気を利用するしかなく、急速に残量が減っていきます。
完全オフグリッドであれば蓄電池の残量が0になった段階で、一切電気が使えなくなってしまいます。
電気使用量の多い家電は使えない恐れがある
オフグリッドでは発電および蓄電できる電力量が限られているので、電気使用量の多い家電は使えない可能性があります。
たとえば、エアコン、ヒーター、ドライヤーといった電化製品は消費電力が多く、オフグリッド環境で使うと蓄電池の残量が一気に減ってしまいます。
したがって、消費電力の多い家電は使わないようにするか、太陽光発電の発電量や蓄電池の残量を気にしながら使わなければなりません。
設備代やメンテナンス代がかかる
オフグリッドを始めるには、太陽光発電をするためのソーラーパネルや、電池をためる蓄電池が必要となります。
これらを用意するには、数百万円程度の費用がかかります。
また、導入後に設備に不具合が生じた場合、メーカーの保証が無ければ実費で修理費用を負担しなければなりません。
このように、設備代やメンテナンス代が必要となるのも、デメリットと言えるでしょう。
オフグリッドを活用した3つの生活スタイル
オフグリッドを活用した生活スタイルとして、大きく分けて以下の3つの種類が考えられます。
- 完全にオフグリッドのみで生活する
- 必要なときにのみ電力会社の電気を使う
- 一部家電のみオフグリッドを活用する
それぞれを簡単に解説します。
完全にオフグリッドのみで生活する
電力会社との契約をせず、太陽光発電で作った電気と蓄電池のみで電力をまかなう方法です。
これが実現できれば、電力会社から電気を購入する必要がなくなり、電力量を0円に抑えられます。
しかし、一般的に完全なオフグリッドを実現するのは極めて困難です。
屋根に載せられるソーラーパネルの量に限りがあるため、一般家庭で必要なすべての電力を供給するには足りないからです。
また、天候が悪いと発電量が減り、ますます必要な電力の供給が難しくなるのも、完全オフグリッドが困難な理由です。
必要なときにのみ電力会社の電気を使う
2つめは、基本的には自給自足で電力を作りつつ、必要な場合は電力会社の電気を購入する方法です。
可能な限りソーラーパネルで発電した電気や、蓄電池に備蓄した電気で生活し、足りない場合は多くの家庭がおこなっているように電力を購入します。
この方法であれば、オフグリッドだけでは電力が足りないときに補えるため、最も低リスクにオフグリッド環境を実現できる方法といえるでしょう。
一部家電のみオフグリッドを活用する
家庭で使う一部家電のみにオフグリッドを活用する方法もあります。
この場合、基本的には電力会社から購入した電気で生活するので、生活スタイルをほぼ変えずにオフグリッドを試せます。
例えば照明器具などの、消費電力が比較的小さい電化製品をオフグリッドで動かすといった具合です。
このやり方は、電気代を大きく削減できるわけではありませんが、オフグリッドで発電できることを確認するにはピッタリの方法といえます。
オフグリッドで本当に電気を発電できるのかを試したい場合は、まずは一部家電にオフグリッドを導入してみるといいでしょう。
【完全オフグリッド】蓄電池&ソーラーで実現するには?
もしも完全オフグリッドを実現したい場合、どのようにすればいいのでしょうか?
ここからは、蓄電池とソーラー発電で完全オフグリッドを実現する方法を紹介します。
ソーラー発電電力を自家消費する
オフグリッドを実現するには、太陽光を利用したソーラー発電設備を導入しましょう。
日中の日差しが強い時間帯であれば、発電した電気をリアルタイムに使用可能です。
余った電力を蓄電池に備蓄
日中に発電した電気のうち、余ったものは蓄電池に蓄えます。
こうすることで太陽光発電のできない夜間や、天気が悪い日、停電時に使う電気を用意できます。
完全オフグリッドの実現は難しい
ここまでにお伝えしたように、日中は太陽光発電の電気を使い、夜間や天気が悪いときは備蓄した電気で生活すれば、完全オフグリッドを実現できる可能性もゼロではありません。
しかし、残念ながら一般家庭での完全オフグリッドは難しいのが現実です。
実際には日差しが弱く十分な電気を発電できない日があったり、雨が降り続く時期があったりするため、電気が足りなくなる可能性があるからです。
また、一般家庭の屋根に設置できるソーラーパネルの数には限りがあり、十分な量の電気を発電できない可能性があるのも、完全オフグリッドが難しい理由です。
したがって、オフグリッドを導入したい場合は自家発電で電気を作りながらも、足りない分を電力会社から購入するのが現実的な方法といえます。
オフグリッドについてよくある質問
ここからはオフグリッドに関してよくある質問を紹介していきます。
DIYでオフグリッド太陽光発電を自作できる?
ソーラーパネル、チャージコントローラー、バッテリー、変換器、インバータといった部品を揃え、組み立てれば自作も不可能ではありません。
ただし、自作には電気設備などの豊富な知識と専門技術が必要です。
作業中に少しでもミスがあると、うまく発電できなかったり、設置後に発火の原因になったりする恐れがあります。
したがって、DIYでのソーラーパネル制作は不可能ではないものの、専門技術がある場合以外はおすすめできません。
ソーラーや蓄電池の導入に補助金は使える?
ソーラーや蓄電池の導入に使える補助金には、以下のようなものがあります。
対象 | 補助率 | |
需要家主導による太陽光発電導入促進補助金※経済産業省が実施 | 民間企業および自治体 | 自治体連携型:2/3民間企業など:1/2 |
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業※環境省が実施 | 民間事業者、団体 | 【太陽光発電設備】4万円/kW~5万円/kW 【蓄電池】定額(※補助対象経費の1/3) |
その他、全国の自治体がさまざまな補助金制度を用意しているので、調べてみるとよいでしょう。
オフグリッド実現にかかる費用は?
発電設備と蓄電池の導入には、それぞれ100万円以上の費用がかかる場合が多いです。
さらに、完全なオフグリッドを目指すには、多数のソーラーパネルや蓄電池、工事費用等が必要なので700万円以上が必要となる可能性があります。
【まとめ】自分にあったスタイルでオフグリッドを始めよう!
オフグリッドは太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで可能となります。
しかし、一般家庭ではソーラーパネルを設置できる数に制限があり、天候によって発電量が制限されるので、100%のオフグリッド実現は難しい可能性があります。
そのため、オフグリッドと電力会社を併用し、実現できる範囲で無理なくオフグリッドを導入するのがよいでしょう。
ミライでんちでは太陽光発電や蓄電池を活用し、オフグリッドを実現する方法を提案しています。
ソーラーパネルや蓄電池導入時の補助金の活用方法についてもアドバイスしておりますので、お気軽にご相談ください。