蓄電池と発電機の違いは?災害時に選ぶべきはどっち?
大雨や台風、地震などの災害時にニュースで停電の報道を聞くと、停電への備えが必要だと感じますよね。そこで比較的安価で普段使いもできるポータブル蓄電池と家庭用の携帯発電機で検討しているかと思います。
しかし、安価と言えどもどちらを選ぶべきか判断が難しいですよね。そこでこの記事では以下について解説しています。
【本記事のサマリー】
- 蓄電池と発電機の違いは「溜める」と「産む」
- 発電機は使用方法を誤ると死亡事故につながる
- 普段使いに最適なのは蓄電池、しかし容量に課題がある
ポータブル蓄電池と携帯発電機は、生活環境や目的によって適している利用者が異なります。記事の最後には家庭用蓄電池についても触れていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
蓄電池と発電機の違いとは?
蓄電池と発電機は電気を供給するという点については同じですが、それ以外の機能や特性は大きく異なります。
この項では蓄電池と発電機の構造上の違いについて解説します。基礎知識を理解することで、この後の解説がわかりやすくなるのでぜひお読みください。
電気を溜めるのが蓄電池
蓄電池の主な役割は「電気を溜める」ことです。蓄電池は電極に使用されている素材や電解液に化学エネルギーを貯蔵します。そこに電子の流れを起こすことによって化学反応を起こし電気を発生させる構造です。
そのため、発電機と違い燃料を必要とせず、太陽光や風力による発電で電気を蓄電できます。しかし、蓄電池は発電する能力がないため充電できていなければ使用できません。
電気を産むのが発電機
発電機の主な役割は「電気を産み出す」ことです。発電機は搭載されたエンジンの運動により電気を発電しています。
発電機は主にモーター式が採用されていて、エンジンによってモーターを回し電気を発電する構造です。
蓄電池と違い、発電設備がすでに搭載されているため、単体で発電から消費までの役割を果たすことができます。しかし、ガソリンやガスなどの燃料が必要なため、燃料がなければ稼働できません。
ポータブル蓄電池と発電機のメリット・デメリットを比較
この項では蓄電池と発電機のメリット・デメリットを比較しながら解説しています。それぞれの特性や構造によってメリットデメリットは異なりますので、導入する際の参考にしてください。
ポータブル蓄電池と発電機のメリット
蓄電池と発電機のメリットは以下をご覧ください。
蓄電池 | ・電気がない場所でも電気を使用できる ・燃料を必要としない ・自然エネルギーから充電が可能 | |||
発電機 | ・電気がない場所でも発電し電気を供給できる ・燃料があれば稼働し続けられる ・出力電力が高い |
発電機は蓄電池に比べ、直接発電した電気を供給するため、消費電力が高い炊飯器や電気ケトル、持続した稼働の冷蔵庫やヒーターなどの使用が可能です。
一方蓄電池は燃料をガソリンやガスなどの燃料が必要なく、小型の太陽光パネルや風車型の発電設備で十分な充電ができます。
ポータブル蓄電池と発電機のデメリット
続いて蓄電池と発電機のデメリットをご覧ください。
ポータブル蓄電池 | ・出力できる電力量が少ない(容量が小さい) ・いつでも使えるように充電しておかなければならない | |||
発電機 | ・事故に発展する危険性がある ・燃料の保管に注意が必要 ・重量が20kg〜が一般的で持ち運びが大変 |
蓄電池は発電機に比べて安全性が高いものの、ポータブル程度の容量では炊飯器やIHクッキングヒーターなど瞬間的な消費電力が大きいものは使用できません。
対して、発電機のデメリットは安全性に関するものが多く挙げられます。災害時には発電機が原因で起きた死亡事故もあるため、取り扱いに十分な注意が必要です。
【発電機の問題点】過去に死亡事故も
2016年の熊本地震や胆振東部地震、台風や大雨などによる災害時には、発電機の使用方法を誤ったことで一酸化炭素中毒による死亡事故が発生しています。
一酸化炭素は無色無臭で、人間が感知することが難しく、高濃度になると命に関わる危険性があります。
屋内で発電機を使用した被害者の背景として、稼働時に出る排気ガスやエンジン音を近所へ配慮したことが原因(窓を開けない等)なのでは、といわれています。また、延長コードを持っていない、または短いなどの理由から屋内での使用をしたと考えられます。
近年では家庭用携帯発電機の種類が豊富になっており、カセットボンベで発電できる機種も販売されています。簡単に使用できるようになったからこそ、使用方法には気をつけなければいけません。
災害時にはどれくらいの電気が必要?
環境省の調査では、一世帯あたりに使用している消費電力量は年間で4258kWh、1日あたり12kWhです。
これを元にすると、蓄電池では12kWh、発電機では1時間あたり0.5kW発電できる容量が望ましいと考えられます。しかし、これはあくまで平均的なもののため、家族の人数やオール電化などの電力消費状況によって必要な容量が異なります。
災害時には最長で1週間停電した地域や世帯もあるため、発電設備もあると安心した備えになります。
しかし発電機の場合は、停電により燃料の供給が滞るため、常に燃料を備えておかなければいざというときに使用できません。ガソリンは半年に一度取り替えや使い切りが必要なので、災害時の備えとしては不十分といえます。
ミライでんちでは災害時の備えとして、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステムをおすすめしています。
ポータブル蓄電池と家庭用蓄電池の違いは?
ポータブル蓄電池と家庭用蓄電池の大きな違いは容量です。ポータブル蓄電池の場合、大型の容量だとしても2kWh程度ですが、家庭用蓄電池の最大容量はポータブルの約8倍となる17.76kWhです。
使用用途によってどちらが最適か異なるため、以下の情報を参考にしてください。
普段も使いたいならポータブル蓄電池
ポータブル蓄電池は軽量で持ち運びが可能なため、さまざまなシーンで使えるのが魅力です。例えば、
- キャンプやバーベキューなどの屋外レジャー
- 停電時のスマホ充電や照明
発電機のような出力は出せませんが、燃料の運搬や騒音、排気が気にならず使い勝手に優れています。
しかし停電時は、ポータブル蓄電池を充電する電力供給が途絶えているため、充電設備の備えが必要です。
関連記事:ポータブル蓄電池とは?家庭用蓄電池との違いや、メリット・デメリットを解説
毎月の電気代に悩む方は家庭用蓄電池
家庭用蓄電池は、家庭全体の電力供給を補助する目的で設計されているため、月々の電気代を抑えることができます。
2022年〜2023年の冬季間にはオール電化住宅の電気代が10万円を超えて話題になりましたよね。
蓄電池のみ設置した場合は、電気代が日中に比べて安い深夜電力を買電し、電気代が高い日中に蓄電池の電気を使用できます。これにより、電気の使用量は変わらないものの月々の電気代を削減が可能です。
また、太陽光発電と組み合わせることで、電気代を削減するどころか、設備や日当たりなどの条件によっては売電によって収入を得ることもできます。
蓄電池と発電機についてよくある質問
蓄電池と発電機に関して、以下3点のよくある質問をご紹介します。
- 発電機から蓄電池に充電できますか?
- 非常用発電機とはなんですか?
- 室内でも使える発電機はありますか?
豆知識としても使える情報ですので、ぜひ参考にしてください。
発電機から蓄電池に充電できますか?
発電機から蓄電池に充電することは可能です。発電機から生成された電力を蓄電池に供給して充電することができます。
ただし、発電機の出力と蓄電池の容量を適切にマッチさせる必要があります。また、充電器や適切な配線が必要となる場合もあるため、故障の原因になる可能性も考慮しましょう。
非常用発電機とはなんですか?
非常用発電機は、主電源が停止した場合や電力供給が不安定な状況で使用される発電装置のことを指します。これらは、大型商業施設や病院などへの設置が義務付けられているため、一般設備用ではありません。
また、停電時や災害時に電力を供給して機器の稼働や照明の確保、スプリンクラーや防火シャッターを稼働させたりするために使用されます。非常用発電機は通常、燃料(ガソリン、ディーゼル、プロパンなど)を使用して動作し、必要な電力を即座に生成します。
室内でも使える発電機はありますか?
一般的に、燃料を使用する発電機は室内での使用は推奨されません。これらの発電機は、運転中に一酸化炭素を排出するため、換気の不十分な室内で使用すると一酸化炭素中毒の危険性があります。
しかし、電池式の発電機や太陽光発電機など、一酸化炭素を排出しないタイプの発電機は室内での使用が可能です。使用する発電機の種類と安全指示をよく理解し、適切な使用場所を選ぶことが重要です。
まとめ:災害時の備えは蓄電池が無難!太陽光発電と組み合わせて電気代もカット
災害時などの緊急時に、電池残量を気にせず電気を使えるのは発電機ですが、換気状況や騒音、燃料の保管や確保に十分な注意が必要です。
一方ポータブル蓄電池は、安全に使用でき使い勝手がよいのが魅力ですが、容量の小ささに課題があるため、停電が1日以上続く場合は満足な備えになりません。
これらを考慮した場合、最適なのは太陽光と家庭用蓄電池を合わせたシステムの導入です。初期費用が高く持ち運びの使用はできないデメリットがありますが、月々の電気代を抑えたり、売電による収入を得られたりとデメリットを上回るメリットがあります。
ミライでんちでは、太陽光発電・蓄電池を活用した、安心&経済的なライフスタイルをご提案しております。どの蓄電池を導入すべきか迷っている方や他によい製品を知りたいという方は、ぜひ一度お問い合わせください。