パワーコンディショナーとは?仕組み・寿命・機能・種類・必要性を徹底解説!
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パワーコンディショナーとは太陽光発電システムや蓄電池システムの制御をおこなう装置です。パワーコンディショナーがなければ太陽光で発電した電気は使えず、売電もできません。
それほど重要なパワーコンディショナーですが、難しい言葉ばかりが並び、理解しにくいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、パワーコンディショナーについてできる限り難しい言葉を使わず、仕組みや機能について解説していきます。
目次
パワーコンディショナーとは|システム制御を司る装置
パワーコンディショナー(以下パワコンと表記)とは、太陽光発電・蓄電池・V2Hといったシステムの制御をおこなう、システムの心臓部とも言われているほど重要な装置です。
以下にて太陽光発電と蓄電池に関わる2つのパワコンの働きを紹介します。
- 直流から交流に変換する仕組み
- 蓄電池や太陽光発電システムの働きを最大化
①直流から交流に変換する仕組み
家庭用蓄電池は直流電圧で充電し、直流電圧で放電を行います。電力会社から送電されている電気は交流電圧であるため、一般的な家電は直流に対応していません。
そのため、蓄電池の電気を使うには直流から交流に変換する必要があり、この変換をパワコンが担っています。
直流から交流に変換する働きは、車に搭載されているインバータという機器と同様に変換率は90〜95%であるため、インバータでもいいのでは?と疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、パワコンには電気の変換以外にも重要な機能が備わっているため、システムには欠かせない存在です。
また、直流から交流に変換する際には、電気を昇圧し交流の性質を作ることで交流に変換します。この働きにより、今までと変わらずにコンセントから電気を使えるようになります。
②蓄電池や太陽光発電システムの働きを最大化
パワーコンディショナーは蓄電池の充電量や太陽光の発電量の制御をおこなう機能を持っています。
例えば、近年普及している蓄電池はリチウムイオンという物質が用いられています。このリチウムイオン蓄電池は過充電すると発熱・発火する危険性があるため、充電制御は必要不可欠です。
また、太陽光発電によって発電された余剰分は売電として配電線路(連携回路)に送電されます。この売電時には、周波数の同調・電圧の調整・消費電力と余剰分の分配を行わなければなりません。
これらの働きをパワコン1台で担っています。
パワーコンディショナーの機能
パワコンは電気の変換や管理以外にも、停電時に役立つ機能や売電をおこなうための機能が備わっています。この項では以下4つのパワコンの機能を紹介します。
- 自立運転機能
- 系統連携保護機能
- 逆潮流制御機能
- 電圧上昇抑制機能
自立運転機能は停電時に直接関わりがある機能ですので、必ず目を通しておきましょう。
①自立運転機能
自立運転機能は、停電によって電力会社からの電力供給が止まった際に、自動または手動で太陽光発電および蓄電池からの電気に、完全に切り替える機能です。
この機能によって、2019年に発生した胆振東部地震のブラックアウト時では、住宅用太陽光発電ユーザー486件のうち約80%にあたる、388件が自立運転機能を活用し、冷蔵庫や携帯電話の充電に役立ったとしています。
しかし、活用できなかった残りの20%の方は「使い方を知らなかった」「機能自体を知らなかった」と回答しており、非常にもったいないと言わざるをえません。
また、変電所または発電所などの電力会社設備による停電では、住宅側のブレーカーが上がったままになっています。このまま送電されると、突入電流という電気によって漏電や過電圧によって通電火災を起こす危険性があります。
自立運転機能は関連して通電火災を防止する役割も持っています。
参考:資源エネルギー庁『太陽光発電設備の自立運転機能の周知について』
②系統連系保護機能
系統連系とは、電力会社の電力系統(配電線路)に接続される発電設備のことで、一般住宅の主な発電設備は太陽光発電が当てはまります。
系統連系保護機能とは、系統側または自家設備側に何らかの異常が発生した場合に、それぞれの保護を目的として繋がりを遮断する機能です。
太陽光発電で発電した自家消費の余剰分は、電力会社に売電できるよう系統と接続されています。そのため、どちらかが故障した場合、異常な電気が流れてしまい設備が故障する原因が発生してしまいます。
例えば、異相線(性質が異なる電気の線)が接触したことで起きるショート(短絡とも言う)は、異常な電流の短絡電流が発生します。短絡電流は非常に高いエネルギーを持っているため、電線の溶断やパソコン・スマホなどの電子機器が損傷してしまう危険なものです。
このような事態を防ぐためにも、系統に接続する発電設備には系統連系保護機能の設置が定められており、パワコンはその役割も果たしています。
③逆潮流制御機能
逆潮流制御機能とは、売電する際に系統側へ電気を流すために必要な機能です。
通常住宅に流れている電気は、電力会社から一方的に電気が流れている状態です。この流れを順潮流といいます。
電力系統を川とすると、分流の末端に住宅があるとイメージするとわかりやすいかもしれません。
そのため逆の流れを生まなければ、系統へ電気を流せず売電が成立しなくなります。しかし、逆潮流は確実に制御できていないと系統側が停電する可能性があるのです。
太陽光は天候によって発電量が大きく左右されます。順潮流は常に一定で流れているため、不規則な逆潮流は系統側の制御システムに異常を起こし、最悪一帯停電が起きる可能性があります。
逆潮流制御機能は、系統側に異常を起こさないために売電する逆潮流を制御する役割を果たしています。
④電圧上昇抑制機能
電圧上昇抑制機能とは、売電時に系統に送る電圧によって、系統の電圧が上昇しないよう調整する機能です。
電圧は電気機器の出力に大きく影響します。例えば、100V対応の電球を200Vで接続すると通常以上に発光します。(怪我や火災の恐れがあるので絶対にやめてください)
他の一般家庭に安定した電力を供給するために、電気事業法第26条・電気事業法施工規則第44条にて、系統の低圧電圧は101±6V、202±20V以内と定められています。
発電量が多くなる時間帯では電圧が高くなりやすいため、パワコンが自動で電圧を調整してくれます。
パワーコンディショナーの種類
パワコンは太陽光発電や蓄電池システムの心臓部です。管理できるシステムの数ごとに種類があるので、以下にて3つの種類を紹介します。
- 1つのシステムに対して働く単機能型
- 2つのシステムを同時に管理するハイブリッド型
- 3つのシステムが管理できるトライブリッド型
太陽光発電や蓄電池などの設置を検討している方はよく読んでおきましょう。
①1つのシステムに対して働く単機能型
単機能型パワコンはシングルパワコンとも呼ばれており、1つのシステムを管理するタイプです。
蓄電池単体や太陽光発電単体での設置時は単機能型が用いられています。
すでに太陽光発電システムが設置されている場合は、単機能型パワコンが設置されています。ここに蓄電池を後付けしようとすると、単機能型を2つまたはハイブリッド型パワコンへの取り替えが必要です。
②2つのシステムを同時に管理するハイブリッド型
ハイブリッド型パワコンはマルチパワコンとも言われており、太陽光発電と蓄電池を設置する際に用いられます。
単機能型2つに比べてエネルギーの損失が少なく、高性能な機能が備わっています。また1台の取り付けで済むため、外観を損なう可能性が少なくすっきりとした印象があります。
③3つのシステムが管理できるトライブリッド型
トライブリッド型パワコンは太陽光発電・蓄電池・エネファームまたはV2Hの3つのシステムを一括で管理できるタイプです。
太陽光で発電された電気を蓄電池またはV2H、家庭用分電盤、電力系統の4方向へ分配できます。それぞれの電気の変換または調整を1台で担えるため、単機能型・ハイブリッド型と比べると価格は高めです。
しかし、3つのシステムを効率よく管理できるため、電気ロスが限りなく少なく、売電量の増加や電気代の軽減が期待できます。
単相連携用と三相連携用の違いは?
単相連携用は主に家庭用で使われる蓄電池の種類です。また三相連携用は、主に工場やビルなど産業用に用いられる種類をいいます。
低圧における単相とは電線2本で100/200Vの出力のことで、一般的なコンセントは単相に当てはまります。
続いて三相は、電線3本が必要で主に200V出力の機器に使用されます。例えば、業務用洗車機・エレベーター・ロードヒーティングが該当し、これらの機器は『動力』と呼ばれる電気(三相3線式)が必要です。
もし住宅に動力が供給されている機器がある場合、単相連携用では動力機器を稼働させることはできません。
蓄電池の設置を検討する際は、住宅に業務用エアコンや業務用冷蔵庫、三相3線式のモーターなどがあれば三相連携用を選ぶとよいです。上記の機器がない方、単相での電力供給の方は単相連携用を選びましょう。
パワーコンディショナーの寿命は10〜15年
パワコンの寿命は一般的に10〜15年と言われています。故障の原因としては以下が挙げられます。
- 自然災害による異常な電気
- 周辺機器の故障による誘因
- 外部からの衝撃
- 水の混入や振動による内部破損
設置から10年を待たずにエラー表示が頻発したり、太陽光発電の発電量が大幅に減少したりする場合には、上記の原因を疑い専門業者へ点検を依頼しましょう。
場合によってはメーカー保証や設置業者の保証を受けられる可能性があります。
また、パワコンの交換にかかる工事費は10万〜15万円ほどで、パワコンの本体価格を含めると50万円程度になります。年に1度、パワコンを含め蓄電池や太陽光パネルの点検を行いましょう。
まとめ:パワーコンディショナーは機能や用途で選ぼう!
パワコンは蓄電池や太陽光発電とセットで販売されていることが多いです。ただ、機能や住宅の状態、用途によって最適なパワコンの選定が重要です。
特に設置するシステムの数によって最適なパワコンが異なるため、単機能型・ハイブリッド型・トライブリッド型の中から最適な蓄電池を選ぶようにしてください。
太陽光発電システムや蓄電池システムに長年携わってきたミライでんちは、パワコンについて豊富な知識があります。住宅の状況や住み方に最適なパワコンをご提案いたしますので、まずは無料相談をご利用ください。