家庭用の風力発電を導入するメリットは?太陽光発電と比較した結果や問題点も紹介
家庭用風力発電や風力発電投資の登場で、「風力発電システム」の導入を検討する方が増えています。しかし、導入するメリットや問題点などの「実際の情報」を知る機会は多くありません。そのため、家庭用風力発電を導入して「損してしまった」という事態もありうる話です。
この記事では、家庭用の風力発電を導入するメリットについて、太陽光発電と比較した結果や問題点を紹介します。
目次
【そもそも】風力発電は家庭でも導入できるの?
風力発電は、以下の条件さえ満たせれば自由に導入可能です。
- 支柱の高さが15m以下(発電用風力設備に関する技術基準を定める省令)(※1)
- 建材は使用する場所によって、難燃性や不燃性でなければならない(消防法施行令)(※2)
- 騒音が発生する場合、時間および地域ごとに定められた基準以下であること(騒音規制法)(※3)
また上記以外にも各都道府県で定められた条例がある地域もあり、家庭用風力発電の導入を検討の際にはその点にも注意が必要です。
(※1)参考:e-Gov『発電用風力設備に関する技術基準を定める省令』
(※2)参考:e-Gov『消防法施行令』
(※3)参考:e-Gov『騒音規制法』
家庭用の風力発電を導入するメリットは?
家庭用風力発電を導入すれば、電気代を自家発電でまかなえ、また非常用電源としても活用できる点が大きなメリットです。ほかにも太陽光発電と比べても優位であるメリットもあり、導入する際には太陽光発電との違いも理解しておく必要があります。
ここでは、家庭用風力発電を導入するメリットについて、以下の5点を解説します。
- 電気代を抑えられる
- 非常用電源として活用できる
- 24時間発電できる
- 小型なら設置に困らない
- 補助金の支援も受けられる
①電気代を抑えられる
家庭用風力発電を導入すれば、家庭で使う電気を風力発電で発電した電気でまかなえます。そのため、電気代を抑えられるので、これが風力発電の大きなメリットといえるでしょう。
近年、電気代の高騰が問題視されている中ではありますので、電気代を抑えるために注目されています。
②非常用電源として活用できる
家庭用風力発電は蓄電池と併設すれば、発電して使わなかった電気を溜めておくことが可能です。このような仕組みを利用すれば、災害や計画停電などの非常時でも電気を利用できます。
とくに東日本大震災で非常用電源の必要性が高まっている背景もあり、家庭用の風力発電はその点においても注目を集めています。
③24時間発電できる
家庭用風力発電は、自然の風の力をもとに電気を生み出す装置であるため、日中・夜間を問わずに発電可能です。太陽光発電では、日中でかつ天気が良い状況でなければ発電ができない問題があるため、24時間発電できる風力発電の仕組みは太陽光発電との大きな違いといえます。
④小型なら設置に困らない
小型の家庭用風力発電であれば、マンションのベランダにも設置できるサイズであるため、設置場所に困りません。一方で、太陽光発電を設置する場合、屋根の大きさや方角などのある程度の条件があり、設置ができないケースもあります。
設置工事も大きな手間がかからない点もあるため、気軽に家庭用の風力発電が導入できます。
⑤補助金の支援も受けられる
家庭用風力発電は、国や地方自治体の補助金制度の対象であり、補助金の支援を受けられます。補助金を活用すれば導入に必要な初期費用を大幅に抑えられ、風力発電をリーズナブルに導入できます。
ただし、導入する予定の風力発電の発電量や設置場所、またお住まいの場所によって、補助金の内容や条件が異なるため注意が必要です。もし、家庭用風力発電の導入を検討していれば、補助金にも詳しいプロの業者と一緒に検討するのがおすすめです。
家庭用の風力発電を導入した際の問題点は?
一方で、家庭用風力発電の導入には、風力発電の特徴や関係する制度の問題点があります。とくに風力発電で発電した電気をそのまま売れない点は大きな問題点といえるでしょう。そのため、導入にはメリットだけでなく、問題点がある点を踏まえたうえで検討が必要です。
ここからは、家庭用風力発電を導入した際の問題点について、以下の3点を解説します。
- 設置に法律上の制限がある
- 発電機が壊れやすい
- 家庭用は売電できない
①設置に法律上の制限がある
家庭用風力発電の設置には法律や条例上の制限が多くあり、導入の際にはすべてクリアした状態で導入をする必要があります。具体的には、建築基準法や消防法施行令、また騒音規制法、各都道府県の条例などが挙げられます。
太陽光発電ほどコストは必要ありませんが、導入のハードルを考えれば家庭用風力発電はおすすめできません。
②発電機が壊れやすい
家庭用風力発電は、発電機そのものが壊れやすく、壊れた際には買い替える必要があります。とくに風が強い場合にプロペラの部分が耐えきれずに壊れてしまうケースが多く、必要以上の出費が懸念されます。
また、稼働する部分が多いため、メンテナンスの手間が太陽光発電以上にある点にも注意が必要です。
③家庭用は売電できない
家庭用風力発電では、発電した電気を電力会社に売ることができず、利益をあげられません。風力発電で売電するためには、電気工事士の資格が必要となり、その分だけハードルが上がってしまいます。
事業レベルでなければ売電できない点は、家庭用風力発電の導入を検討されていれば障害といえるでしょう。
【シミュレーション】太陽光発電と風力発電の発電効率を比較!
では、実際に太陽光発電と風力発電を比較すれば、どのような結果になるのでしょうか?
ここでは、以下の条件をもとに太陽光発電と風力発電の発電量をシミュレーションします。
- どちらも発電容量を「10kW」とする
- 太陽光発電の1kWhあたりの年間発電量を「1,000kWh」とする(※1)
- 風力発電の発電効率を「30%」とする(※2)
発電効率から1時間あたり「3kWh」を発電したとする
上記の条件でそれぞれの1日と1年間の発電容量を算出すると、以下のとおりとなります。
1日あたりの発電量 | 1年間の発電量 | |
太陽光発電 | 27.4kWh | 10,000kWh |
風力発電 | 72kWh | 26,280kWh |
表からは風力発電の発電量が太陽光発電の発電量よりも上回っているのが確認できます。しかし、風力発電は「9m/s」の風速を必要としており、これは比較的強い風速とされています。
上記は発電効率をもとにある程度の発電量は考慮されているものの、強風時の故障やメンテナンスなどに必要な費用を考えれば、発電量だけで判断するのは難しいといえるでしょう。
(※1)参考:太陽光発電協会『太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?』
(※2)参考:別府市『風力発電 概要』
家庭用の風力発電でよくある質問
もし風力発電の導入を検討されていれば、導入後のトラブルを未然に防ぐためにもよくある質問は把握しておきましょう。最後に、家庭用風力発電で寄せられるよくある質問について、以下の2点を解説します。
- 家庭用風力発電の設置費用は?
- 家庭用風力発電で騒音トラブルは起こる?
家庭用風力発電の設置費用は?
風力発電の発電量によっても設置費用は異なりますが、1kWあたり「約24〜37万円」の本体価格といわれています。設置条件によって価格は変動するため、導入を検討していればあらかじめ業者から見積ってもらいましょう。
家庭用風力発電で騒音トラブルは起こる?
家庭用で利用される風力発電であれば、大きな騒音が出づらく、騒音によるトラブルは起こりづらいでしょう。しかし、閑静な住宅街であれば、周辺住民が気になるレベルの騒音が発生する可能性もあり、風力発電の機器を選ぶ際には注意が必要です。
【まとめ】家庭用の風力発電は「太陽光発電が設置できない人」におすすめ!
家庭用風力発電は太陽光発電を超える発電量が期待できますが、一方で発電が不安定になりやすく、また発電機そのものが壊れてしまうリスクを抱えています。このような点から太陽光発電が設置できる家庭であれば、太陽光発電を優先的に導入するのがおすすめです。
一方で、太陽光発電が設置できない方であれば、家庭用風力発電の導入を検討しましょう。再生可能エネルギーを活用し、電気代の節約や非常用電源の確保などのメリットが得られるため、長期的に見ても家庭を支える大切なアイテムとなります。
ミライでんちでは太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。
蓄電池導入に際しての補助金の活用方法についても無料でアドバイスをおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。