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更新日:2024年1月4日

太陽光発電の初期費用は回収できないのか?何年で元が取れるのかシミュレーションで解説

太陽光発電について

「太陽光発電の初期費用は回収できない?」

インターネットで調べると「太陽光発電はやめた方がいい」や「やらなきゃよかった」など、否定的な意見が多く目に入ります。しかし、導入して後悔している人の多くは、しっかり導入前にシミュレーションをおこなわなかった点が原因のひとつです。

この記事では、太陽光発電をやめた方がいい理由や初期費用を回収するための方法について、詳しく解説しています。実際に初期費用が何年で元が取れるのか、具体的なシミュレーションもおこなっているため、参考にしてください。

【7割損?】太陽光発電はやめたほうがいいと言われている5つの理由を解説

太陽光発電はやめた方がいいといわれている主な理由は「費用面」です。初期費用は導入する前から対策しておけば、後悔につながる可能性も低減します。

ここでは、太陽光発電をやめたほうがいいとされている5つの理由を解説します。

  1. 初期費用が高く、回収できない可能性がある
  2. 初期費用を回収するために、長い期間要する
  3. 定期的なメンテナンス費用がかかる
  4. 環境によって発電効率が左右される
  5. FIT制度の固定買取価格が低下し続けている

①初期費用が高く、回収できない可能性がある

家庭に導入される太陽光発電の初期費用の相場は「112〜140万円」と高額です。

導入前の想定よりも売電収入が下回ってしまったり、想定外の修理コストがかかったりすると、初期費用を回収できない可能性もあります。初期費用を抑えたい場合は、国や地方自治体から受けられる補助金の活用や太陽光発電システムの性能を見直してください。

②初期費用を回収するために、長い期間要する

売電価格は年々下落傾向にあるため、初期費用の回収は少しずつ難易度が上がっています。しかし、直近では売電価格の下落と同時に、太陽光発電の導入にかかる初期費用も低下傾向です。

年度設置費用相場(1kWあたり)
2018年33.3万円
2019年30.5万円
2020年29.2万円
2021年27.5万円
2022年26.7万円
参考:経済産業省「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」

上記の表によると、1kWあたりの設置費用が2018〜2022年の間に「6.6万円」もの初期費用が低下しています。

初期費用が下がればその分性能に優れた設備を導入できるため、回収期間の短縮が可能です。

③定期的なメンテナンス費用がかかる

住宅用の太陽光発電は法定耐用年数が「17年」と定められていますが、メンテナンスを怠ると想定よりもはやく寿命が尽きてしまう可能性があります。

主に必要な点検としては、パネルの清掃やインバーターの交換、ケーブルの点検などです。なかには、数十万円程度かかる場合もあるため、計画的に予算を組んでおきましょう。

点検費用は負担に感じるかもしれませんが、システムの寿命が伸びれば長期的なコストパフォーマンスが向上し、電気代の削減や売電収入につながります。

④環境によって発電効率が左右される

天候や季節による影響をカバーするためには、太陽光パネルの設置場所や角度の重要度が高いです。

環境はコントロールできませんが、設置する場所や角度は事前の念入りなシミュレーションによって、発電効率を最大限高められます。太陽光発電を導入する際は、専門業者と必ず打ち合わせをおこなってください。

⑤FIT制度の固定買取価格が低下し続けている

FIT制度の固定買取価格は、2012年時点では「42円/kWh」でしたが、2023年は「16円/kWh」まで低下しています。

しかし、同時に太陽光発電の導入費用の相場も下がっているため、必ず損してしまうわけではありません。5kWの太陽光発電の導入費用の相場は、2018年の「166.5万円」から2022年には「133.5万円」まで下がっています。

一方向からの目線で判断せず、全体を通して冷静に計算して判断しましょう。

【家庭用】太陽光発電の初期費用を回収するための5つの方法

太陽光発電の初期費用を回収するために時間がかかる方の多くは、導入前のシミュレーションが少ない傾向です。適切な対策を取りつつ長期的な計画を立てていれば、費用を回収できる確率は大きく上がります。ここでは、初期費用を回収するための5つの方法を解説します。

  1. 太陽光発電システムの性能を落とす
  2. 導入時の工事費用を抑える
  3. FIT制度を活用して固定価格で売電する
  4. 電力プランの見直しをおこなう
  5. 蓄電池をあわせて運用する

①太陽光発電システムの性能を落とす

太陽光発電の設置費用のうち大きな割合を占めているのが、太陽光パネルとパワーコンディショナーの費用です。

しかし、家庭ごとで電気代の削減や売電収入の目標値は異なるため、自分のライフスタイルに合っていればわざわざ高性能にする必要はありません。家庭にあった性能を選択し、導入を検討しましょう。また、複数業者から見積を取って比較検討も重要です。

②導入時の工事費用を抑える

太陽光発電の設置費用のうち、費用全体の4分の1は工事費です。太陽光発電を設置する費用(1kWあたり)の内訳は、以下の表を参考にしてください。

項目費用(費用全体に占める割合)
太陽光パネル14.5万円(51.6%)
パワーコンディショナー4.2万円(14.9%)
架台2.1万円(7.5%)
その他の設備0.2万円(0.7%)
工事費7.1万円(25.3%)
合計28.1万円

工事費を抑えるためには、太陽光パネルの設置面積を減らす、固定方法を安くする方法が有効です。太陽光発電の設置費用を安く抑える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:【2023年最新版】太陽光発電の設置費用はいくら?安く設置する方法や設置後の費用も解説!

③FIT制度を活用して固定価格で売電する

FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取る制度です。FIT制度による固定買取価格は、太陽光発電の導入から10年間適用されます。

導入後の10年間は、比較的高い買取価格が維持されるため、売電収入を確保しやすいです。

FIT制度について、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

関連記事:FIT制度後は蓄電池でお得に節約!導入手順やメリット・デメリットを解説

④電力プランの見直しをおこなう

電力プランの見直しをする際は、深夜電力の検討をしてみましょう。深夜電力とは、各電力会社が提供する深夜の割安プランを指します。夜間は日中に比べて電力需要が少なく、電力価格を安く設定している電力会社が多いです。

日中は太陽光発電の電気でまかない、夜間は深夜電力プランの安い電力を使用すれば、電気代を大きく削減できます。深夜電力について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:「深夜電力(夜間電力)とは?蓄電池の利用で節電し安くなる方法を解説!」

⑤蓄電池をあわせて運用する

蓄電池を導入すると、太陽光発電で発電した電力を蓄電可能です。

日々の余剰電力を溜めておけるため、太陽光発電の電力を最大限に活用可能です。蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、補助金制度を設けている自治体もあるため、補助金の対象地域か確認してみましょう。

東京都で活用できる補助金制度については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:【2023年最新】東京都で使える蓄電池補助金の情報まとめ!申請方法や条件を解説

太陽光発電の初期費用は何年で元がとれる?自家消費と売電収入別でシミュレーション

ここでは、自家消費と売電収入のパターンに分けて具体的に何年でもとが取れるのかを計算しています。なお、太陽光発電の初期費用は以下の条件から「140万円」としとています。

  • 一般的な家庭に導入される太陽光発電の容量は「5kW」
  • 1kWあたりの導入費用は「28万円」
  • 5kW×28万円/kW=140万円

自家消費

  • 家庭で設置される太陽光発電の年間の平均発電量は「1,000kWh」
  • 太陽光発電の電力をすべて自家消費にあてた
  • 1kWhあたりの電気料金の目安は「31円/kWh」

上記の条件で計算した場合、電気代削減の金額は以下のとおりです。

太陽光発電容量年間発電量年間の電気代削減金額
5kW5,000kWh155,000円

上記の表から、年間で「155,000円」の電気代が削減できることがわかります。この条件をもとに、回収期間を計算すると、

1,400,000円÷155,000円= 約9年

太陽光発電の電力をすべて自家消費にあてると、回収期間は「9年」です。

売電収入

  • 2023年度の売電単価(FIT単価)は1kWhあたり「約16円」(10kW未満)
  • 平均的な年間発電量は、太陽光パネルの容量1kWにつき「1,000kWh」
  • 太陽光発電の電力のすべてを売電にあてた

上記の条件で計算した場合、電気代削減の金額は以下のとおりです。

太陽光パネルの容量年間発電量年間売電量年間売電収入
5kWh5,000kWh5,000kWh80,000円

上記の表によると、FIT価格が適応している期間の年間の売電収入は「80,000円」とわかります。5kWhの太陽光発電システムの導入費用を「140万円」をもとに計算すると、

1,400,000円 ÷ 80,000円=17.5年

太陽光発電の電力をすべて売電収入にあてると回収期間は「17.5年」です。

自家消費と売電収入どちらも取り入れるケースやFIT制度の終了を考慮すると、回収期間は異なりますので、あくまでも参考値として覚えておきましょう。

太陽光発電は10年経ったらどうなる?具体的な行動について解説

太陽光発電の導入から10年経てばFIT制度の終了や定期メンテナンスなど、さまざまな対策が必要です。ここでは、太陽光発電の導入から10年経過後にするべき具体的な行動について解説しています。

FIT制度の終了

太陽光発電を導入して10年が経つと電力の買取価格が大幅に下がるため、売電収入や自家消費にあてる割合を見直す必要があります。

FIT制度終了タイミングの前に、各電力会社の買取価格を確認しましょう。より高く電力を買い取ってくれる会社が見つかれば、別の電力会社への乗り換えも有効です。

10年後の自家消費と売電収入、どちらがお得かについては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:10年後の太陽光発電は自家消費がおトク?おすすめの対策もあわせて解説

太陽光発電の定期点検

住宅用の太陽光発電システムは、3〜5年に1回の定期点検が必要です。定期的なメンテナンスの実施により、システム全体の寿命を伸ばせます。

なお、太陽光発電の点検費用は1回あたり「約2.9万円」です。また、メーカーの保証期間内であれば、設備のトラブルが見つかっても無償で交換できる可能性があるので確認してみましょう。

太陽光発電システム交換タイミングの検討

太陽光パネルの寿命は30年、パワーコンディショナーの寿命は10〜15年とされています。太陽光パネルは寿命が長く、適切な点検をおこなっていれば10年後も継続して使用可能です。

パワーコンディショナーは、太陽光発電の電力を家庭で使用できる電力へ変換する設備で仕組みが複雑であるため、太陽光パネルよりも短い寿命が設けられています。

まとめ:太陽光発電の初期費用は長期なら十分に元がとれる!

太陽光発電の初期費用は、長期的に無理のない計画をすれば十分に元がとれます。

太陽光発電の初期費用の回収に時間がかかる主な理由は、事前のシミュレーション不足が原因と考えられます。導入時の工事費や設備の性能を抑えておくと、初期費用の回収期間も短縮可能です。導入時に専門業者と打ち合わせを必ずおこないましょう。

ミライでんちでは、太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。

太陽光発電、蓄電池の導入に際しては、補助金の活用方法についても無料でアドバイスをおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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