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更新日:2024年8月29日

太陽光発電をしてるとインボイス登録必要?税金を払いすぎる場合も

太陽光発電について

太陽光発電で売電収入を得ていると、税金との兼ね合いでインボイス制度の登録が必要なのかという疑問が度々挙がっています。結論として、インボイス制度の登録は必要ではない一方で、事業者として運用していれば登録が必要なケースもあります。

細かなルールを把握しておかなければ、税金に関するトラブルに発展しかねないため、注意が必要でしょう。

本記事では、太陽光発電とインボイス制度の関係について、メリットやデメリット、登録をすべき人などを解説します。

資源エネルギー庁からのはがきは、インボイス制度を促すものではない

2023年1月に資源エネルギー庁から、家庭用太陽光パネルを設置している家庭向けに「インボイス(適格請求書)制度」の登録を促すはがきが郵送されました。当時、大きな話題に挙がり、多くの太陽光発電利用者が混乱しました。

しかし、同年2月には、資源エネルギー庁から「免税業者の登録は不要で、買い取り価格の変更もない」との公表があり、郵送の停止がなされました。

このような事件から、太陽光発電の利用者(免税事業者であることが前提)によるインボイス制度の登録は不要とされ、そのルールは現在までも続いています。

そもそも「インボイス制度」とは?ポイントとメリットを紹介

2019年10月の消費税増税にともなって、通常の10%と、軽減税率が適用された8%の2種類の税率が混在しています。政府は消費税額を正確に納付してもらうための制度が必要となり、2023年10月から「インボイス制度」を施行しました。

そもそも、この「インボイス制度」は、消費税を明確かつ正確に納税してもらうための制度です。具体的には、売り手が買い手に対して決められたフォーマットで、適用税率や消費税額などを明記し、正確な申告および納付を実現させています。

ここでは、インボイス制度の特徴について、3点解説します。

  1. 仕入税額控除が使える
  2. 適格請求書発行事業者になる必要がある

①仕入税額控除が使える

インボイス制度を利用すると仕入時に支払った消費税を、売上時に支払った消費税から控除できるようになります。

従来、仕入時と売上時両方に消費税がかかっていたことは、二重課税になってしまう恐れがあったため、問題視されていました。

そこで、インボイス制度を利用し、定められたフォーマットの請求書で消費税を取引先に伝える事業者には、売上時にかかる消費税から仕入時にかかる消費税を控除できるメリットが与えられました。

②適格請求書発行事業者になる必要がある

政府が仕入税額控除を適用させるためには、どの事業者がインボイス制度を利用しているかを知る必要があります。

そこで、事業者がインボイス制度を利用するためには、税務署長から登録を受けた「適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)」になる必要があると定められています。

【結論】太陽光発電を利用してても、インボイス制度を利用する必要なし

個人で太陽光発電を利用していても、インボイス制度を利用する必要はありません。インボイス制度を利用しなくてもよい理由は次のとおりです。

  • 課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税が免除になるため、インボイスで控除を受ける必要がない
  • とくに非課税事業者である一般家庭の場合は加入するメリットがない
  • 太陽光発電のみで課税売上1,000万円以上になるには、億単位の投資が必要なのでインボイスが必要になることはほとんどない

一方で、事業をおこなっていてインボイス制度に申請・登録すべきケースも存在します。そのため、自身で勝手に判断せず、然るべき専門家への相談は忘れないようにしましょう。

インボイス制度と太陽光発電との関係とは?

ここでは、インボイス制度に関係がある方やインボイス制度で受けられる特例措置について説明します、

①売上1,000万円超でないと、インボイスはあまり関係なし

原則として、課税売上高等が1,000万円を超えない事業者には、インボイス制度はあまり関係ありません。

ただし、課税売上高等が1,000万円を超える事業者(課税対象者)が固定価格買取制度(FIT)の認定を受けるには、インボイス発行事業者になる必要があります。

②インボイス登録事業者は特例が受けられる

2割特例は、本来、消費税を支払わなくてもよい免税事業者がインボイス制度に登録することで課税事業者になった場合の特例措置です。

具体的には、売上にかかる消費税額から売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算する方法と、従来の計算方法のどちらかを選べる制度です。

2割特例を利用するために届け出は必要ありませんが、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間限定の処置である点には注意が必要です。

太陽光発電でインボイス制度を利用した際の3つのメリットは?

太陽光発電をしている方がインボイス制度を利用すると消費税の控除や請求書の電子化、取引先の税控除などのメリットもあります。細かなメリットであるものを活用すれば、より賢く太陽光発電を運用できるかもしれません。

ここでは、太陽光発電でインボイス制度を利用した際のメリットについて、以下の3点を解説します。

  1. 初期投資時に支払った消費税の一部が免除になる
  2. 請求書を電子化できるので業務の効率化・保管管理が簡単になる
  3. 電力会社の消費税が安くなる

①初期投資時に支払った消費税の一部が免除になる

太陽光発電のために、1,000万円の初期投資をした場合は10%の消費税がかかるため、100万円の負担が発生します。インボイス制度を利用すれば、電気を売却した際にかかる消費税で初期投資に支払った消費税の一部を控除できます。

ただし、インボイス登録のタイミングについては必ず税理士などの専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

②請求書を電子化できるので業務の効率化・保管管理が簡単になる

インボイス制度を利用すると請求書を電子化できます。電子化をすれば管理や確認がしやすく、必要な際にすぐに取り出したり、確認したりすることが可能です。

また、申告書作成の事務の効率化や、課税売上の計上漏れの防止、税務調査対応への事務負担の減少につながります。

ただ、このメリットは事業者がメインとなっている点には注意が必要です。

③電力会社の消費税が安くなる

インボイス制度は販売側と購入側の両方がインボイス発行事業者でないと利用できません。ただ、大手電力会社はインボイスの登録をおこなっており、登録用の番号を公表しています。

そのため、自身がインボイス制度に登録すれば、電力会社が支払う消費税の控除ができる額が増えるため、電力会社の支払う消費税が安くなります。

【リスク・注意点】太陽光発電でインボイス制度を利用した際の3つのデメリットとは?

一方で、インボイス制度を利用すると、消費税の申告や納付などの煩雑な対応が必要になります。

また、登録作業が必要なことや、請求書のフォーマットの変更が必要になるなどのデメリットも存在し、インボイス制度の利用を検討していれば知っておく必要があるでしょう。

ここでは、太陽光発電でインボイス制度を利用した際のデメリットについて、解説します。

  1. 消費税を支払わなければならない場合がある
  2. インボイス発行事業者の登録を受ける必要がある
  3. 請求書のフォーマットを変える必要がある

①消費税を支払わなければならない場合がある

そもそも、課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税が免除になるため、インボイス制度で消費税の控除を受ける必要がありません。

また、課税売上高が1,000万円を超える事業者が自宅の太陽光発電の余剰電力を売却しても電気販売の売上に消費税はかかりません。

一方で、インボイス制度を利用すれば、消費税の申告や納付が必要となり、場合によってはコストが高まるリスクがあります。

②インボイス発行事業者の登録を受ける必要がある

インボイス制度を利用するためには、インボイス発行事業者の登録を受ける必要があります。加えて、インボイス発行事業者として登録されるまで、e-taxでは「1か月」書面では「1か月半」程度の期間を要します。

なお、登録処理が目安の期間を超えている場合は、進捗状況をインボイス登録センターで確認できます。

③請求書のフォーマットを変える必要がある

インボイス制度を利用するためには、請求書のフォーマットを消費税額等が明記された請求書に変更する必要があります。フォーマットにしたがっていない場合は、インボイス制度の利用ができないケースもあるため、注意が必要です。

なお、インボイス制度を利用する場合の請求書に記載する必要がある項目は次のとおりです。

  • 請求書の発行事業者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引の内容(軽減対象税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
  • 登録番号
  • 適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等

太陽光発電の利用者で、インボイス制度を登録すべき人とは?

太陽光発電をしている人でインボイス制度に登録すべき人は主に次の人です。

  • 年収が1,000万円以上の太陽光投資をしている(これからする)人
  • 1,000万円を超える事業者で、固定価格買取制度(FIT)を利用する場合

1,000万円を超える事業者(課税対象者)が固定価格買取制度(FIT)を利用するためには、インボイス制度に登録する必要があります。ただ、事業の特性や収益などによって、インボイスに登録すべきか否かが異なっていきます。

お近くの税務署などの専門機関に相談・確認をしてみるのがおすすめです。

まとめ:インボイス制度を理解して、より効率よく太陽光発電を運用しよう

本記事では、太陽光発電とインボイス制度の関係について、メリットやデメリット、登録をすべき人などを解説しました。太陽光発電を利用している方のなかで、インボイス制度を利用するメリットがある方は「太陽光発電によって1,000万円以上の課税売上をあげた方」に限られます。

本記事で解説したようにインボイス制度に関係する方は多くありませんが、一方で事業として太陽光発電を運用していればインボイスの対象になる可能性があります。税金周りのトラブルに巻き込まれないためにも、然るべき専門家などに相談したうえでしっかりと対策をしてください。

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