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更新日:2024年5月26日

産業用蓄電池とは?家庭用蓄電池との違い・メーカー・容量・注意点を解説

蓄電池について

産業用蓄電池と家庭用蓄電池の大きな違いは容量と保安規制です。蓄電池は4800Ahセルを境に、家庭用と産業用に区分されます。

また、電力会社との契約電力によって受電電圧が低圧と高圧に分かれ、最適な蓄電池も異なります。

この記事では上記の詳細に加え、産業用蓄電池の価格やメーカー、関係法令について解説しています。ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

産業用蓄電池を導入する目的はBCP対策

BCPとは、商業施設における緊急時の非常用電源の確保のことをいいます。

これは建物の規模または用途(病院や行政施設)によって設置が義務付けられているため、蓄電池または非常用発電機などを設置しなければなりません。

最近では非常時以外も活用できる産業用蓄電池を設置する施設が増えてきています。

ではどのような利点があるのか、以下2点に分けて紹介します。

  1. 災害時の緊急電源として使用できる
  2. 電力消費量の軽減が期待できる

それぞれみていきましょう。

①災害時の緊急電源として使用できる

災害時の緊急電源として発電機を備えている施設では、燃料の保管や管理、運転確認などのメンテナンスが必要です。

また、災害時では燃料の確保が難しい場合も多く、限られた箇所に短時間しか電気を供給できない可能性があります。

しかし産業用蓄電池であれば、停電が起きても長時間電気を供給できます。蓄電池だけであれば、電気に限りがありますが、太陽光発電と組み合わせると1日以上の電気供給も可能です。

そのため、お客様や従業員の安全と健康、データの消失や機会損失を守ることができます。

②電力使用料金の軽減が期待できる

法人契約の電気料金形態は、一般家庭の電気料金と同様に時間帯によって金額が変わります。

例として東京電力の高圧受電(500kW未満)の料金表をみてみましょう。

単位料金
基本料金1kW1,814円37銭
電力量料金ピーク時間1kWh26円72銭
昼間時間夏季26円01銭
その他季24円58銭
夜間時間19円26銭
引用:東京電力

※ピーク時間とは夏季の日曜日を除く午後1時〜午後4時
 昼間時間とは午前8時〜午後10時
 夜間時間とは午後10時〜翌日午前8時

蓄電池を設置すると、普段使わない夜間時間の電気を蓄電して日中に使用できるため、電気料金を軽減できます。

家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違いは容量と出力

蓄電池はポータブル・家庭用・産業用の3つに分類され、容量や出力の大きさによって消防法で取り決められています。

産業用蓄電池に分類される基準はリチウムイオン蓄電池だと4800Ahセル相当の17.76kWh以上の蓄電池です。それ未満の容量を持つ蓄電池は家庭用蓄電池に分類され、消防法の規制や届出を一部免除されます。

また、出力についても大きく異なります。家庭用蓄電池の出力は一般的に3kWに対し、産業用蓄電池の出力は30kWとその差は10倍です。

このように家庭用蓄電池と産業用蓄電池は容量と出力によって区分されています。

参考:総務省消防庁

受電電圧による産業用蓄電池の違い

工場を含めた商業施設では、高圧受電と低圧受電に分かれており、電力会社の料金形態も異なります。

蓄電池も高圧受電と低圧受電によって最適な機種がありますので、以下にて紹介します。

低圧受電設備

低圧受電は契約電力が50kW未満である場合、配電設備から低圧の電気が供給されます。家庭用蓄電池と大きな違いはなく、受電した電力をそのまま蓄電池へ送ることができます。

小規模な飲食店や小売店であれば、家庭用蓄電池でも十分な場合があるため、消費電力を算出して蓄電池容量を選びましょう。

高圧受電設備

50kW以上2,000kW未満が高圧受電の範囲です。高圧受電は交流6,600Vが受電され、高圧区分開閉器、潮流機、変圧器、の順番で低圧に変換されています。

これらの機器と高圧対応の蓄電池はキュービクル(※)に収める必要があり、多くの施設では電気室または屋上にキュービクルを集約しています。

(※キュービクルとは、専任者以外が電気設備に触れてしまわないよう鍵と注意喚起の表示が付いた箱のこと)

蓄電池は直流でなければ充電や放電ができないので、蓄電池の手前に変圧器とパワーコンディショナーを設けなければなりません。

変圧器を不要とする変圧器内蔵型を利用すれば、キュービクルの数を減らすことができ、初期費用と設置スペースを削減できます。

産業用蓄電池の価格は?

環境省は産業用のリチウムイオン蓄電池のシステム価格を1kWhあたり15〜25万円としています。(※1)

仮に1,000kWhの蓄電池を設置する場合、1億5千万円〜2億5千万円となり非常に高額です。そのため、1,000kWhと大容量の蓄電池を設置する場合は、日本ガイシが販売している寿命が同等のNAS電池を設置しているケースが多いです。(※2)

NAS電池の1kWhあたりの価格は3〜5万円と、リチウムイオンに比べて5分の1程度であり、1,000kWhであれば3千万〜5千万円と初期費用を大きく抑えることができます。(※1)

また、産業用蓄電池は『ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業』といった補助金を得られる制度があります。(※3)

高額な設備ですので、初期費用を抑えるためにも補助金を活用しましょう。

(※1)参考:環境省『3. 系統強化方策及びデマンドレスポンス等の需要能動化方策の提案とその効果把握』7P
(※2)参考:日本ガイシ『NAS電池』
(※3)参考:一般財団法人環境イノベーション情報機構

産業用蓄電池を取り扱うメーカーは?

産業用蓄電池を製造しているメーカーを8社紹介します。

メーカー特徴
株式会社村田製作所国内の自社工場にて製造しており、高品質で安全性が高い。
TAOKE ENERGY株式会社100kWh程の容量と13MWhの大容量蓄電池を製造している。
古河電池株式会社主に鉛蓄電池を扱っており、最大容量は1MWh。
パナソニック株式会社商品ラインナップが豊富で、多数の実績がある。
ニチコン株式会社ユニットによる分割が可能で屋外設置でも外箱不要。
日本ガイシ株式会社NAS電池を取り扱う。MWh以上に対応し、他の蓄電池に比べて安価で高寿命。
CONNEXX SYSTEMS株式会社中規模施設にピッタリのコンパクトな73.7kWh機種を製造。
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社交流接続型で最大出力55kVAと強力な機種が特徴。

各社の特徴が異なるので、設置を検討している規模や特性に合ったメーカーを選びましょう。

産業用蓄電池を設置する注意点

産業用蓄電池は消防法や電気事業法の保安規制を遵守しなければなりません。例としては以下が挙げられます。

  • 消防法に則った設置スペース
  • 電気主任技術者の選定
  • 定期的な保守点検の実施
  • 各種届出

リチウムイオン蓄電池の設置スペースは耐酸性の床、耐火の壁やダクトなど、材質も取り決められています。

また、高圧受電設備には電気主任技術者という点検や操作を行う専任者の選定が必要です。全てを把握するのは非常に労力がかかるので、専門業者や有識者に相談・協力してもらいましょう。

まとめ:災害時でも安心できる電源のバックアップを!

病院や自治体施設では非常用電源の設置が義務付けられています。一方、停電によって命が関わる施設や避難所指定をうけている建物など以外は、非常用電源の設置は義務ではありません。

しかし、非常用電源として蓄電池があれば、停電による水循環ポンプの停止、エレベーターの停止、エアコン・暖房の停止、照明ダウンによる転倒、データの消失など大きな損害を防止できます。

蓄電池は初期費用が高額な設備ですが、補助金の利用、高機能蓄電池によるキュービクルや変圧器の省略など、金額を軽減できる方法は様々です。

ミライでんちでは太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーを活用した、電気を自給自足できる生活をご提案しております。

蓄電池導入に際しての補助金の活用方法についても無料でアドバイスをおこなっておりますので、お気軽にお問合せください。

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